あっという間に師走を迎えました。コロナ後というよりコロナといかに上手く付き合っていくかという中、世の中が動き出しています。そしてスポーツ界も同様です。

12月7日になりますが、1929年のリーガ・エスパニョーラ創設以来、降格経験のない3クラブ(アスレティック・クラブ、バルセロナ、レアル・マドリード)のトップからラ・リーガの全クラブへ手紙が送られたことがオープンになりました。今回はこの内容について見てみたいと思います。

日本語でいうところの「持続可能なプロジェクトVSリーガ・インパルス・プロジェクト:リーガ・プレジデントの手紙とその追加コメントへの回答」というタイトルで始まるこの書簡は、8月に発表されたCVCキャピタル・パートナーズからの大型資金調達に関する声明です。この合意によりラ・リーガは27億ユーロ(約3500億円)もの資金を調達することが可能となり、各クラブにも巨額の分配金が行き渡ることが明らかとなりました。しかしレアル・マドリード、アスレティック、バルセロナ、2部のレアル・オビエドの4クラブはすぐに反対姿勢を表明し、その後はメディアを通して非難合戦が続いています。レアルは公式ホームページ6ページにわたる書簡を公開しています。

今回公開された(各クラブに送付された)この手紙の内容は、改めてリーガ会長の判断を否定するものとなっています。特に詳細に述べられているのが「投資者にとって美味しすぎる内容であり、犠牲になる我々は損ばかりのありえない内容である」ということです。冷静に考えると3チームの主張にも理解することができるポイントもあります。

それがどの部分かというと、テバス会長は放映権を8年間で30%成長させることを目標にしているとしており、今回調達した資金は大半がこのためのものと見ています。さらに具体的にこの目標を達成するためのプランとして仲介業者抜きのOTTサービス(Over The Topの略で通信事業者やインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に頼らずインターネットを介して視聴者に直接提供されるメディアサービス)での試合配信などによって収入を上げていくということまでも提示されています。そしてこの目標達成のためには「インフラ整備」「デジタル化」「ブランドの成長」という3つのキーワードが使用されているのですが、批判しているリーガ1部の3クラブ側の主張はこの投資を受ける代わりに持っていかれる放映権の抵当の長さにあるとみているようです。

今回の調達された資金については、リーガは40~50年かけて徐々に分配していく考えのようです。一方、見方を変えると50年という長い間、CVCに放映権を抵当に入れられてしまう事を意味しています。そして当然、期間が長過ぎるという指摘です。現地では、そもそもこの5年後、10年後ですら新しい何かが生まれていてもおかしくないこの世の中で50年という長きにわたる担保を契約することは、多大なるビジネスリスクになるという捉え方ができると見解を述べているメディアもあります。

非難しているのが2部降格を経験したことがない3チームというのが謎ですが(単純に健全なる経営を行っている3チームかと思ったがバルセロナはそうでなかった)、全クラブが非難しているわけでもなく、改めて財政面が整っていないリーガの現状を浮き彫りにすることになったことには間違いありません。

【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)