日本の得点場面にあまり顔を出してはいないが、柴崎岳のかじ取りにはうならされた。

引いたモンゴルに日本の攻撃が手詰まりになる場面があった。だが柴崎がボールに触れると、停滞した流れがリセットされ、新たなスイッチが入る。

例えば長友の得点。そもそもは左サイドでテンポが悪くなり、柴崎から右にいた冨安へのサイドチェンジから最後は長友のゴールにつながった。実に柴崎のパスからのべ12人が絡んだ得点だが、自らが出したパスの後は柴崎は1度も絡んでいない。わずか1発の地味なパスで得点を演出した。

緩急自在なパスや展開力から試合を支配する。前線の選手にとれば直接もらうパスが少なくても、柴崎が触るだけで得点を意識できる。実力差があった両国の戦いだが、日本の土台を支えている存在をあらためて示した形だ。(日刊スポーツ評論家)