日本対チリ チリに敗れ、悔しそうに引き揚げる久保(左)(撮影・河野匠)
日本対チリ チリに敗れ、悔しそうに引き揚げる久保(左)(撮影・河野匠)

あるべき差が出た試合だった。0-4なのにチャンスをつくっただけで「ポジティブ」と喜んでいることが、チリとの差だ。シュート数は互角でも、枠内シュートの割合は低い。1対1で大きな差がある。体格は大して変わらない相手に、簡単にボールを奪われる。GKとの1対1でシュートを決めきれない。

ダブルボランチが守備に追われ、効果的な攻撃に絡める機会が少なかった。9日の親善試合エルサルバドル戦とは相手が違う。後半に失点を重ねたのは、守備陣の疲れからだろう。

久保も完全フリーにならないと、持ち味が出し切れなかった。Rマドリードへの移籍で騒がれているが、この試合を見る限りはトップチームへの昇格はお預けだな。レアルはこの日のチリ代表よりもレベルは高い。同じくレアルに加入するベルギー代表のアザールに失礼だよ。

現在のチリ代表はメンバーが定着したこともあり、高年齢化で今大会が“卒業式”だ。サンチェスやビダル、バルガスは若い頃から結果を出して、世界トップの選手。一方で目立たないが、守備陣は手堅い。2点リードして、そこから途中出場の選手が機能するという選手層の厚さ、試合運びのうまさもあった。身体能力や個人技に飛び抜けているというわけではないだけに、日本代表が見習うところは多いと思う。

今回の日本代表は東京五輪世代中心で、チャレンジしに行く立場だ。これを「いい経験になった」で終わらせてほしくない。結果を出さなければ、真の「いい経験」にはならない。次戦のウルグアイも南米選手権にはこだわりを持つチームだ。1次リーグで勝ち点をもぎ取れるか? 今大会の戦いが東京五輪で生かされるか? 早くも正念場だ。(日刊スポーツ評論家)

日本対チリ 後半、決定機を逃し悔しがる久保。左は中山(撮影・河野匠)
日本対チリ 後半、決定機を逃し悔しがる久保。左は中山(撮影・河野匠)