新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、Jリーグは開幕前日の20日、予防対策と拡散防止についての声明を発表した。運営スタッフはマスクの着用に努め、感染の拡大状況に応じて試合日程の変更を検討するという。各クラブも練習場でのファンサービス中止を発表するなど、それぞれ対応に追われている。

練習場を訪れるファンのほとんどは、クラブの公式ホームページやSNSなどを閲覧しているため、彼らに「ファンサービス中止」を周知することは可能だ。しかし、公共交通機関での移動中に、握手やサインを求める行為を制限するのは難しい。“ファン”というよりも“たまたま居合わせた”人もいるからだ。ファンサービスが中止されていることを知らずに「あ、○○選手だ」と、悪意なく握手を求めてくることもある。

実際、16日のルヴァン杯では、アウェーへの移動中に、“ファン”から握手を求められた選手がいた。試合前日に新幹線で名古屋へ移動した鹿島アントラーズのスタッフは、「駅構内で声をかけてくださる方がいたが、スタッフだけで制限をするのは難しかった。どうにかして、1人でも多くの方に感染拡大防止の意識を持ってもらえないものか」と話していた。

選手としても、声をかけてくれた人たちをむげにできない。クラブ関係者も、一度に全選手を見ることは不可能。こんなご時世だからこそ「自粛する」ことも大切ではないだろうか。一刻も早く事態が収束し、ファンと選手が平和に触れ合うことのできる日常が戻ることを願っている。【杉山理紗】