ガンバ大阪史上初めてといっていい不祥事に、担当記者も考えさせられた。10月31日の試合前、ピッチに立った小野社長は「とんでもない行為だと自覚しております」と、サポーターに謝罪した。

その6日前、26歳のブラジル人FWアデミウソンが、酒気帯び運転などの疑いで大阪府警の任意捜査を受けた。繁華街で徹夜で飲食し、自家用車で朝の練習に行く途中、他の車へ接触事故を起こしながら認識せず、練習に参加。事情聴取の末、基準値を超えるアルコールが検出された。けが人が出なかったことが唯一の救いだった。

サポーターら全関係者への裏切り行為に変わりはないが、スポンサーの中には大手自動車やタイヤのメーカーがあり、事実上の親会社パナソニックも家電だけではなく、自動車向けの製品も手がける。ある企業からは「これまでも同様のことはなかったのか?」と厳しい意見が出たという。当然の声だろう。

小野社長は今年4月、選手に対し、クラブには何社のスポンサーがあり、どれだけのサポーターがいて成り立っているかを説明していた。J2アルビレックス新潟で外国選手による酒気帯び運転があった際も注意喚起した。来日6年目のアデミウソンは、それでも分かっていなかったことになる。

クラブでは「管理責任を果たせなかったのは事実」と謙虚に受け止め、選手への再教育を誓う。その際は思う。飲酒運転の恐ろしさを改めて啓発してほしい。

G大阪U-23チームを率いる森下監督は、この件を受けて「もう1度(あの事故を)思い起こさないと」と言った。06年に福岡市の海の中道大橋で、飲酒運転の犠牲で3児が死亡。日本における飲酒運転への厳罰化の流れを生んだ、あの事故を知らない若い世代が増えているからだ。

現在謹慎中のアデミウソンは、警察の最終的な捜査で事実関係が大きく変わらなければ、契約解除になる方向だという。同選手が払った代償の大きさを含め、どれだけの損害がクラブに及んだかも、残った選手にさらけ出すべきだろう。社会の厳しい目がJリーグに向けられている今、G大阪は変わらなければいけない。【横田和幸】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)