ワールドカップロシア大会の初戦で日本が対戦するコロンビア。前回大会では1-4と大敗したが、今回はコロンビア国内でどう見られているのだろうか。代表GKとして活躍し、現在は同国1部アトレチコ・ナシオナルでGKコーチを務めるレネ・イギータ氏(51)を直撃。FK、PKのキッカーを務め、攻撃的GKの先駆けとなったレジェンドに初戦の展望を聞いた。

 現役時代、エル・ロコ(狂った人の意)の愛称で親しまれ、長髪を振り乱して積極的に攻撃参加するGKだったイギータ氏。引退から9年がたったが、トレードマークは健在だった。本拠地メデジンのスタジアム。試合前に声を掛けると、屈託のない笑顔で日本戦について口を開いた。

 「コロンビアの技術レベルの高さは、今や世界中の人が知っている通りだ。日本は特にロドリゲス、ファルカオ、クアドラードには注意した方がいいよ」

 前回大会で初めて8強に進出したコロンビア代表の愛称はロス・カフェテロス(コーヒーを作る人たちの意)。現在は4年前を経験している選手も多く、主力の多くが国外でプレーしていることもあり、イギータ氏は自信満々。95年の親善試合イングランド戦で相手のシュートをえび反りのジャンプからかかとで蹴り返し、自ら「スコーピオン」と名付けたことは今も語り草。そんなインパクトのあるプレーを、攻撃陣に期待しているようだった。日本についての印象はこうだ。

 「日本は速攻が得意。4年前のW杯でゴールを決められた9番のFWの選手には注意しないといけない。名前は何だったっけ? そうだ、オカザキだよ」

 前回は1次リーグ最終戦で対戦。日本は前半終了間際、本田の右クロスを岡崎がDFと競り合いながら頭で右隅にゴール。1-1の振り出しに戻した。試合は後半3得点のコロンビアが4-1で制したが、百戦錬磨のGKの視点から岡崎がゴールした形に警戒した。ならば日本の勝機は速攻にあるのか。だが、笑いながら真っ向から否定した。

 「ハッハッハ。そういうわけじゃない。もちろん日本のスピードには注意しなければいけないが、コロンビアはそれに対応するだけの力を持っている」

 コロンビアの両サイドバックは果敢に攻撃参加するが、2人の長身センターバックを中心に強固な守りを誇る。そしてイギータ氏は初戦の大切さを力説した。

 「6月19日はコロンビアにとっても日本にとっても初戦になる。W杯で大事なことは初戦で勝ち点3を確保することだ。前回のW杯ではコロンビアが4-1で勝ったが、すでに1次リーグ突破が決まっていた。今回はスコアは重要ではない。初戦は1-0で勝てば十分さ」

 自身が出場した90年イタリア大会は初戦でUAEに勝利。2戦目はユーゴスラビアに敗れたが、第3戦の西ドイツ戦で終了間際に同点に追い付き、1次リーグを突破。その経験からの言葉だった。そして最後に「サッカーの試合は11対11の勝負。その中でゴールのチャンスをうまくつかめたチームが勝つことができる」と結んだ。【取材・構成=福岡吉央通信員】

 ◆レネ・イギータ 1966年8月27日、コロンビア・メデジン生まれ。85年にミジョナリオスでプロデビュー。アトレチコ・ナシオナルでは89年に南米王者としてトヨタ杯(現クラブW杯)に出場。その後、バリャドリード、ベラクルス(メキシコ)などでプレー。09年に引退後はバリャドリードでGKコーチ、アルナスル(サウジアラビア)でGKコーチ、監督を務め、17年からアトレチコ・ナシオナルでGKコーチ。コロンビア代表では68試合3得点。172センチ、80キロ。