日本は、南米のチームに弱いね。コロンビアは南米予選を3位で通過したチーム。その相手に個で完全に負けてしまった。スピードも技術も、1対1でもすべて向こうが上だった。失点の場面でも日本の右サイドをあれだけえぐってくるとは思わなかったはず。日本なら1人かわした時点でクロスを上げていただろう。でもコロンビアはよりゴールの確率を高めるため、ゴール近くまでボールを運んだ。

日本はA代表が14年と18年のW杯で対戦している。14年はハメス・ロドリゲスに完全に遊ばれて1-4で負けた。18年は開始3分で相手が退場になったため2-1で勝てたが、個の戦いでは押されていた。そこから時間がたって、年代が下がっても個の力の差は埋まらない。

これは学校で指導者から学ぶ日本と、路上で年上の選手から自然と伝わるサッカー文化の違いにある。決められたシステムで動き、パスを出してそれを受ける。このポイントでシュートを打つ。行き詰まったら、攻撃を組み立て直す。日本はある程度、決められたルールがあってそれに忠実に従う選手が評価される。

しかし南米はそうではない。詰まった時に無理やり突破を図る選手もいる。パスを出すタイミングで強引に自分で持っていったり、味方を使ったり、その時の感覚で状況を打開する。守る時も連係重視の日本に対して、南米の路上サッカーはあくまでも個が中心で、とにかく1対1で抜かれない。1人でボールを奪うことを優先させる。

日本はW杯カタール大会でドイツやスペインに勝った。クロアチアともいい試合をした。しかしW杯後、ホームにウルグアイとコロンビアを呼んだが勝てなかった。南米の勝負欲、1対1の貪欲さ、しつこいほどの勝負へのこだわりなど、技術面もメンタル面も、日本が今後習得すべきものが南米チームにはある。

(日刊スポーツ評論家)