勝てば優勝だった鹿島アントラーズは、ジュビロ磐田に0-0で引き分け、つかみかけていたリーグ連覇を逃した。後半50分20秒。試合終了の笛。9月23日の第27節終了時には勝ち点8差あった2位川崎Fに、最後にひっくり返された。MF三竿健はピッチで泣き崩れた。DF昌子もあおむけに倒れ込み、自力では立ち上がれなかった。今季途中から指揮をとった大岩監督も、試合後の会見で「勝たせてあげられなかった僕の経験不足…」。2度、声を詰まらせて悔いた。

 ACLによる変則日程により、川崎Fの結果次第で「試合なし優勝」の可能性2度。勝利で決まった先月26日の前節柏戦では本拠でスコアレスドロー。4度目の“王手”は、引き分けも許されない重圧が逆にのしかかってきた。昌子はあふれそうな涙を上を向いてこらえながら「また、一段と強くなるための試練。下からの(2位の)景色を見ることになってしまった」。FW土居も「これがあったからと言えるサッカー人生が来ればいい」と必死に前を向くしかなかった。

 前半11分にDF西が右膝負傷で退場。交代で入ったDF伊東も右肩脱臼を負い、痛みを抱えながらプレー。同44分にはCKをDF植田が頭で合わせてネットを揺らしたが、ファウルの判定。昌子は「主審に『誰のファウル』って聞いたら『植田か昌子のどっちか』と言われた。そんな曖昧なのはおかしい」と憤りも隠せなかった。

 過去、国内主要タイトル19冠の鹿島にとって、初の屈辱を味わった。J1タイの年間14完封勝利など安定した強さは示したが、今季無冠。来季は再び、ACLを含めた史上初の年間4冠に挑む。【鎌田直秀】