FC東京MF久保建英(17)が王者・川崎フロンターレを相手に多くの見せ場を作った。

右サイドで先発し、リーグ戦では自己最長となる77分間プレーした。高速FKを右ポストに直撃させるなど、攻撃の核としてインパクトを残すプレーを連発。今季の爆発を予感させた。試合は0-0で引き分けた。

敵地がどよめくひと振りだった。前半41分、ペナルティーエリアの右角付近からのFK。久保がコンパクトに左足を振り抜いたシュートが高速でカーブを描く。ボールは2枚の壁の左側を抜け、GKの反応を許さない速度で右ポストに直撃した。「周りの人は入らないと思ったかもしれないけど、自分は絶対決まったと思った」。悔しさの中に、たしかな自信があった。

マッチアップした日本代表経験者のDF車屋にフィジカルで勝って抜き去る場面も。技術で勝っても強引につぶされることもあった昨季までの姿はもうない。車屋は「17歳とは思えない。間違いなくJでトップレベル」と舌を巻いた。

長谷川監督も「素晴らしいの一言」と絶賛。G大阪時代に指導した日本代表MF堂安の名を出し「堂安がヨーロッパに行く前のレベルにきている。順調に経験を積めばすぐにヨーロッパから声がかかるのでは」と称賛を惜しまなかった。

昨季はシーズン途中に期限付きで横浜へ。途中出場が続く中で気づきがあった。「土台として、チームに求められることができないと出られないのが当たり前。それを10代の早いうちに気づくことができた」。この日も1列後ろの日本代表DF室屋とともにプレッシャーに走り、指揮官が大事にする守備への切り替えにも力を注いだ。攻撃センスはそのままに、チームの仕事もしっかりこなす。また1つステップアップした17歳は「今日は及第点のプレー。無得点に終わってしまった。次は得点を」。チームに欠かせない存在になりつつある。【岡崎悠利】