J1鹿島アントラーズの筆頭株主となったメルカリ社(東京都港区)が30日、東京・文京区のJFAハウスで記者会見を行った。同社の小泉文明社長兼COO、鹿島の庄野洋社長、日本製鉄の津加宏執行役員が登壇した。

日本製鉄は住友金属時代から鹿島とともにJリーグを引っ張ってきた。増資などクラブを手放す以外の選択肢もあったのではという問いに、津加執行役員は「今までが40億、50億ぐらいでずっと推移して、昨年70億。アントラーズの構想としては100億ぐらいにしないと世界のチームと戦っていけないと、そのためにビッグクラブをつくるんだという構想がある。それを実現するためにはどうすべきか。やはり今のアントラーズの経営基盤をさらに強固し、企業価値をさらに高めていくことになるので、これまで通りの鉄鋼業、資材産業よりも裾野の広い産業からいろんな経営ノウハウをいただきながらやる方が得策であると判断しました」と経緯を報告。「(メルカリ社は)いろんなノウハウを持たれているので鹿島アントラーズのブランドにうまく融合させていただいて、ともに企業価値を上げていただくと、我々としては期待しています」と語った。

メルカリ社以外にも譲渡先の候補はあったという。だが津加執行役員は「いくつかお声掛けをいただいた会社はありました。ただ、やはり鹿嶋の地で、今までの伝統がありますので、本拠地を鹿嶋にというのと、スタジアムをそのまま使うのが大前提。それに共感して、さらに地域貢献ですね、活性化に寄与していただけるのを確認しました。積極的にやっていきたいというのがありましたので期待しています」と、決め手は“鹿島愛”だったと説明。譲渡額の約16億円についても「お互いに合理的な金額算定をした結果」とした。