改革の成果を全国で示す。北海学園大が、サッカーの総理大臣杯全日本大学選手権(29日開幕、兵庫・神戸ユニバー記念競技場ほか)に、98年以来21年ぶりに出場する。

17年の北海道学生リーグ2部降格からはい上がってきたハングリー精神を武器に、道予選準優勝を果たし、出場権を獲得。29日の初戦では37年ぶり2度目出場の拓大(関東第7代表)と対戦する。指導体制を一新してよみがえった同大が、3度目の挑戦で初の全国1勝をつかむ。

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全国での活躍を、北海学園大サッカー部再興のきっかけにする。21年ぶり出場に向け、MF宮井智樹主将(4年)は「力がない中でも道代表としてチャンスをもらった。1戦必勝の気持ちで臨みたい」と意気込んだ。相手の拓大は、今大会最長ブランクの37年ぶり。「お互い久しぶりの出場で思うところがあると思うが、気持ちで負けないように」と強い口調で話した。

どん底からの復活だ。宮井主将が1年だった16年北海道学生リーグ1部で14戦未勝利、3分け11敗の勝ち点わずか3で最下位に終わり、入れ替え戦でも敗れ2部に降格した。高校サッカー強豪北海出身の宮井主将は「練習に11人そろわないとか、1週間練習に来ない人が試合に出たりとかも。大学サッカーとは、こんなものなのかと驚いた」と当時を振り返った。

それまで約20年間、同大は指導者不在で、学生主体で戦っていた。自由な雰囲気は徐々に一体感の欠如となり、練習試合の相手も、選手が仲の良い友人に連絡して探す程度。狙いをもったマッチメークすらできなかった。2部降格にともないチームを再興しようと、17年からOBの伊藤一志監督と、同期で指導経験がある沢野稔コーチ(ともに59)が就任。ともに会社員のため、毎日チームを見ることはできないが、土日の指導や、OBの横のパイプを使って練習試合を組むなど、尽力した。さらに、同大OBでニトリの似鳥昭雄会長から新ユニホームの提供を受け、出直しを図った。

17年のリーグ戦で優勝し1部復帰を決めると、18年以降、有望な戦力が集まるように。今春は、系列北海高の主力だったDF三国凌が加入。今回の道予選で三国は新人ながら最優秀DFに選出された。伊藤監督は「総理大臣杯でしっかりした試合ができれば、来年の戦力アップにもつながる」と期待。ぼろぼろだった16年から3年でよみがえった北海学園大が大舞台で結果を残し、さらなるレベルアップを図る。【永野高輔】