ジュビロ磐田が大分トリニータを2-1で下し、8戦ぶりの勝利をつかんだ。後半21分にMF山本康裕(29)が今季初ゴールとなる先制点を決めると、同点とされて迎えた同ロスタイムにも決勝点。敵地で勝ち点3を獲得した。

フェルナンド・フベロ監督(45)は就任後、リーグ戦4試合目で初勝利を挙げた。J2とのプレーオフに回る16位鳥栖との勝ち点差も「7」に縮め、J1残留へ望みをつないだ。

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最後の最後に、劇的勝利が待っていた。後半ロスタイム6分。左サイドからゴール前に飛び込んだ磐田MF山本が、右クロスに反応した。「フリーになっていることは分かった」。正確に頭で捉えたシュートは、大分ゴールのネットを揺らす。直後に8戦ぶりの勝利を告げる笛が鳴った。

試合前まで、チームは今季ワーストの7戦勝ちなし(1分け6敗)で最下位に低迷。J1残留へ、まさに崖っぷちの状態だった。下部組織出身の山本にとって、育ったクラブの危機。「僕もやらなければいけない選手。プレーで引っ張ろうと練習からやってきた」。29歳という年齢も、その自覚を強くさせた。この日、同21分には、チームとして4戦ぶりの得点となる先制点を決めた。文字通り、窮地のチームをけん引した。

引っ張られるように、同じく磐田U-18出身のGK八田直樹(33)も、好セーブを連発。17年4月22日のホーム札幌戦以来、約2年半ぶりの先発抜てきに最少失点で応えた。敵地でつかんだ貴重な勝ち点3で、J2とのプレーオフに回る16位鳥栖との勝ち点差は「7」に縮まった。残り8試合。苦しい状況は変わらないが、奇跡の残留へ望みはつないだ。【前田和哉】