Jリーグは14日、都内でJ1全18クラブが参加して開幕前恒例のイベント、キックオフカンファレンスを開き、23日の開幕カードで対戦する横浜FCのFWカズ(三浦知良、52)と神戸MFアンドレス・イニエスタ(35)が初めて対面した。カズは左臀部(でんぶ)の痛みで別メニュー調整中だが、15日に部分合流し、来週に完全合流する見込み。開幕ピッチでの再会が現実味を帯びてきた。

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日本のキングとスペインの魔術師が固い絆で結ばれた。Jリーグ最年長のカズと壇上で並んだイニエスタが「カズがいいシーズンになるよう願っている」とスペイン語でエールを送ると、カズは「ムーチャス グラシアス(本当にありがとう)」。するとイニエスタが「ドウイタシマシテ」。絶妙なパスワークを披露した。

2人は控室からポルトガル語やイタリア語で通訳なしで会話し、神戸での生活の話などに花を咲かせ「神戸で食事を」と約束した。イニエスタは「52歳になった今も、サッカーへの情熱を失わず、愛を持っているカズさんの姿には尊敬を感じます」と敬意を表した。

2人の親交は加速し、その後のブース取材では、イニエスタがパスを出す時の視野について説明した後、カズが「僕にもパスをください」とおねだり。イニエスタも「間違えないようにしないとね」と切り返し場を和ませた。カズはイニエスタが控室で他クラブの若手選手にも敬意を持って接していたことを明かし「プレーのスタイルを見れば人柄も分かる。謙虚さ、気遣い。常に学ぶべきことがある」と話した。

待たれるのは23日の開幕カードでの2人の再会だ。カズは6日の宮崎キャンプで左臀部(でんぶ)に痛みが再発したが、検査では複数の医師から「問題ない」との診断を受けた。「思い切り、勇気を持ってやれる」。15日に部分合流し、来週から完全合流する予定で「個人的にはメンバー入りして、神戸への新幹線に乗れるように頑張ります」。J1でのゴールとカズダンスにも「全力を尽くします」と約束した。

今月26日には53歳の誕生日を迎える。現役へのモチベーションに「こういう場で世界的な選手と知り合えることもそう」とし「サッカーへの情熱がある限り、自分はまだ戦える」と強い思いを言葉にした。イニエスタも「サッカーは自分にとって情熱であり人生」と同じ価値観を口にした。サッカーで結ばれた新しい友情。カズは再会を実現させるべく、来週からギアを上げていく。【岩田千代巳】