優勝を逃した2位の横浜F・マリノスが東京に8-0で大勝した。日本代表に選出されたFW前田大然(24)が、今季2度目のハットトリック。21ゴールとし、初の得点王へ2位との差を4点に広げた。チームは勝ち点75で3位以上が確定し、来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を獲得した。3位神戸はこちらも日本代表FW大迫勇也(31)のゴールで徳島を1-0で下し、2連勝で勝ち点67に伸ばした。

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ワントップの位置で前田が本領を発揮した。前半10分、高い位置でルーズボールをさらうと、爆発的な加速でDFを置き去りし、ゴール前へ。1度はGKに止められたが、こぼれ球を左足で蹴り込んだ。今季は左サイドでの出場が多かったが、本来の中央で出番を得て前半41分にPK、後半3分にはヘディングと得点を重ねた。「(相手のDF)ラインが高めなので、どんどん裏に抜けていこうというのはあった。前のほうがやりやすいけど、チームが決めること。与えられたポジションで結果を残せてよかった」。生き生きとプレーし、輝いた。

ハットトリックは8月の大分戦以来、今季2回目。一気に21得点まで積み上げ、川崎FのFWレアンドロ・ダミアンとの差を4点に広げ、初の得点王に近づいた。横浜で年間20得点以上は、98年に25得点した城彰二以来23年ぶり。ただ「(得点王は)意識していないと言えばウソかもしれないけど、チームメートが僕に取らせてくれている。今日はもっとチャンスがあった中で3点しか取れていない」と満足していない。

6月まで横浜の指揮官を務めたポステコグルー監督率いるスコットランド1部セルティックが、前田の獲得を狙っているとの報道もある。後を継いだマスカット監督は「今日の素晴らしいパフォーマンスが欧州で放送されないことを祈っている」と、冗談めかして、本音ともとれるコメントを残した。

日本代表に招集され、初めてW杯最終予選に臨む。活躍の場は、Jリーグからアジアへ。前田は「(ポジションは)どこで使われるか分からないけど、出た時は、目に見える結果を残したい」と国際Aマッチ初得点を狙う。【杉山理紗】

◆前田が得点王になったら 日本人得点王は19年横浜FW仲川輝人(15点)以来。うち20得点以上は、17年川崎FのFW小林悠以来。さらに24歳での得点王となれば、02年磐田FW高原直泰(26点)と04年浦和FWエメルソン(27点)の23歳に次ぐ2番目の若さとなる。