U-22(22歳以下)日本代表でFC東京加入が内定している注目のMF松木玖生(くりゅう、3年)の1ゴール1アシストの活躍もあり、青森山田が3大会ぶり3度目の優勝と高校3冠に王手をかけた。7日に76歳で亡くなった小嶺忠敏さんが率いた00~03年度の国見(長崎)以来となる4大会連続で決勝進出。背番号10の松木は、天国の小嶺さんに喪章を掲げ弔意を示した。8大会ぶりの東京・国立競技場での開催となる10日の決勝では、大津(熊本)と日本一を争う。

【スコア速報】第100回全国高校サッカー選手権>

松木が、天国の名将にゴールをささげ、試合を決めた。2-0の後半12分。タッチライン際でボールを奪うと、力強いドリブルでペナルティーエリアに進入。右足を巧みに使い、相手をかわしてさらに突破。最後は、角度のない難しい位置から豪快に左足でサイドネットに突き刺した。

「自分たちもインハイ(昨夏のインターハイ)初戦で長崎総合科学大付とプレーした。特に関わりはないが、高校サッカーを築いてきた方でもあるので、そういう方に向けた得点でした」。ゴール後は、前日7日に亡くなった名将・小嶺さんに向け、喪章を天に掲げ、両手を合わせた。

海外クラブも興味を示す中、争奪戦の末、今春の東京入りが内定している。昨年、飛び級でパリ・オリンピック(五輪)を目指すU-22(22歳以下)日本代表に招集された逸材。プロを夢見て12歳で故郷の北海道室蘭市を離れ、青森山田中に進学した。エリートにみえるが「小学校時代は、めちゃくちゃへたでした」。中学入学前の練習会でも満足いくプレーができなかった。「通用しなかった部分がかなりあった。悔しくて、成長できるのは青森山田だと思った」。反骨心で、ここまで歩んできた。

大舞台で天国に喪章を掲げるような強心臓も武器。幾多のJリーガーを育て上げた名伯楽・黒田剛監督(51)は6年前を「『本当につい最近まで小学生だったのか?』と思わせるぐらい肝が据わっていた」と回想する。先輩にも遠慮せずに堂々と自分の意見を伝えてきた。高1の松木が練習中、高3の先輩に集合を命じることもあったという。「なかなかこういうタイプの選手がいない中、『これが俺なんだ』という印象を受けた」。強烈な個性に、黒田監督でさえ、たびたび驚かされてきた。

これでチームは4大会連続、松木は個人として3大会連続で決勝にたどり着いた。3年間の全国選手権通算14試合で積み上げた得点は9。しかし、過去2大会は準優勝止まり。悔し涙を流してきたが、記念すべき100回大会を歓喜で締めくくって松木の大会とし、プロへと羽ばたく。【山田愛斗】

▼通算14試合9得点 MF松木は1年時の19年度大会初戦から全試合に先発し通算14試合9得点。01~03年度に通算最多17得点を挙げた国見FW平山相太の出場試合は通算13試合。1年時から全試合に出場したわけではなく、01年度はチーム5試合のうち先発1試合、途中出場2試合だった。

◆高校3冠 青森山田は全国高校総体(インターハイ)、高校年代で最高峰の高円宮杯U-18プレミアリーグ東地区との3大タイトル制覇に王手。本年度のプレミアリーグは、新型コロナの影響で西地区とのファイナルは中止となった。

<松木玖生(まつき・くりゅう)アラカルト>

◆生まれ 2003年(平15)4月30日生まれ、北海道室蘭市出身。

◆サイズ 179センチ、76キロ。

◆サッカー歴 幼稚園年長時から室蘭大沢FCでサッカーを始め、青森山田中1年時から主力。

◆日本代表歴 U-15、16、17、U-22日本代表。

◆背番号 青森山田高では1年時7、2、3年時が10。東京では新人が背負うことの多い40番台のゾロ目、44となったことが7日に発表されたばかり。

◆目標 まず24年パリ五輪出場。加えて、A代表入りと、欧州でプレーし欧州CLに出場すること。

◆尊敬する人物 ホスト界の帝王こと、ROLAND(ローランド)。

◆座右の銘 当然、「俺か、俺以外か」。

【高校サッカー選手権】第100回全国高校サッカー選手権関連ニュース>

【高校サッカー選手権】組み合わせトーナメント表はコチラ>