2024-25シーズンのスペインリーグは5月25日に全日程が終了した。スペイン勢が今季、ヨーロッパの大会で好成績を残したことで、来季は欧州チャンピオンズリーグの出場権がひと枠増加する。
これにより来季の欧州カップ戦に参加するスペインリーグの上位8チーム(リーグ戦1位~5位欧州チャンピオンズリーグ、6、7位欧州リーグ、8位欧州カンファレンスリーグ)の戦いぶりをまず振り返っていきたい。
■総得点100点超は8季ぶり
バルセロナにとって今季は、フリック新監督のもと、欧州5大リーグで最も多くのオフサイドを誘発した“ハイライン”が大いに注目されるシーズンとなった。これに加え、敵陣でのパス成功数がリーグトップのペドリを中心とした圧倒的なボール支配率(1試合平均69・11%)、レバンドフスキ、ラフィーニャ、ヤマルが爆発した高い攻撃力(総得点102ゴール)を武器に、2季ぶり28度目のリーグ優勝を達成。スペインのチームがリーグ戦の総得点で3桁を超えるのは実に8季ぶりで、見る者を大いに楽しませた。また、実力主義のフリック監督によって抜擢された下部組織の選手たちも期待に応え、チームの成功に大きく貢献した。
前人未到の7冠を目指したレアル・マドリードだったが、過密日程(公式戦62試合)とけが人続出による守備陣崩壊が最後まで響いた。バルセロナとの直接対決もすべて敗れ、2位でリーグ戦を終えた。終盤のマジョルカ戦で負傷者が11人に達したことは、今季の過酷さを物語っている。鳴り物入りで加入したエムバペは序盤、ビニシウスとポジションが被る問題もあって本領発揮できなかったが、終わってみれば2位のレバンドフスキに4点差の31ゴールを記録し、ピチチ賞(スペインリーグの得点王)とゴールデンシュー(欧州の得点王)に輝いた。
アトレチコ・マドリードは今季のスペインリーグ移籍金最高額で獲得したフリアン・アルバレスが徐々に調子を上げ“冬の王者(前半戦のチャンピオン)”となった。しかし、オブラクが史上最多6度目のサモラ賞(スペインリーグの最少失点率GK賞)を受賞するほどのセービングを披露したにもかかわらず、アウェーでの成績の悪さや中心選手のグリーズマンが不振に陥ったことが響き、後半戦で失速。最終的に3位で終了した。
■CL枠増えビリャレアル恩恵
昨季5位で終わったビルバオはチーム力に磨きをかけ、リーグ最少失点(29失点)の堅固な守備、サンセットの決定力やウィリアムズ兄弟の活躍が光るシーズンを送った。4位の座を最後までキープし、14-15年シーズン以来10季ぶりに欧州チャンピオンズリーグの出場権を手に入れた。
欧州チャンピオンズリーグの出場枠が増えた恩恵を受け、最後のひと枠に滑り込んだビリャレアルは、19ゴールでサラ賞(スペイン人得点王)に輝いたアジョセ、さらにバエナやジェレミ・ピノといったスペイン代表の選手たちが躍動し、5位でフィニッシュした。
中盤の大黒柱であり、得点、アシストともにチームトップのイスコを中心としたベティスは、決勝進出を果たした欧州カンファレンスリーグとの2大会を並行して戦う過密日程の中、リーグ戦でビリャレアルに肉薄するもあと一歩届かず、欧州リーグ圏内の6位で終了した。
7位のセルタは、エースとして長年チームを支えてきた37歳のイアゴ・アスパスのパフォーマンスに翳りが見えたものの、最終的にはチームで最も得点に絡む選手(10得点5アシスト)となり、チーム得点王のボルハ・イグレシアス(11得点)とともに、9季ぶりの欧州リーグ出場権獲得の原動力となった。
特に今季躍進を遂げたチームと言えば、昨季、降格圏一歩手前の17位と低迷したラヨ・バリェカノだろう。下位からの脱却を図るために大きな話題とともに加入したハメス・ロドリゲスはチームにフィットできずに前半戦で退団したが、チームはアウェーで好成績を残し、8位で欧州カンファレンスリーグ出場権を獲得。ホームで行われた最終節で25年ぶりの欧州カップ戦参加が決まった瞬間、ピッチに雪崩れ込んだサポーターと選手たちが喜びを分かち合ったシーンは古き良きスペインを感じさせた。
■マジョルカ後半戦の失速響く
日本人選手所属クラブに目を向けると、浅野拓磨が加入したマジョルカは欧州カップ戦争いを終盤まで戦うも、後半戦わずか4勝という成績不振が祟り最終的に10位。浅野拓磨は加入後即座にレギュラーの座を掴み、パフォーマンスは悪くなかったものの、4度のけがに悩まされた。その結果、リーグ戦21試合(先発13試合)、1059分出場、2得点、1アシスト、マッチMVP1回受賞という成績で、スペイン初年度を終了した。
レアル・ソシエダードは序盤から成績不振に陥り、開幕前の予想を大きく下回るチームのひとつとなった。深刻な得点力不足の問題(総得点は最終的に下から3番目)を解消できずに11位で終え、6季ぶりに欧州カップ戦の出場権を逃すことになった。今季のサラリーキャップ(選手の契約年数に合わせて分割された移籍金や選手年俸などの限度額)がスペイン・ビッグ3に次いで4番目に多いことを考えると、期待外れの結果と言えるだろう。
久保建英はそんなチーム状況の中、気を吐き続けた選手のひとりとなった。リーグ戦の成績は36試合(先発27試合)、2382分出場、5得点0アシスト、マッチMVP9回受賞。被ファール数リーグトップ(73回)、ドリブル数7位(141回)、ドリブル成功数6位(75回)と、スペインリーグ屈指のドリブラーであることを改めて証明した。
昨季3位と大躍進を遂げたジローナも期待を大きく裏切るチームとなった。昨季のスペインリーグ得点王ドフビク、エリック・ガルシア、サビーニョ、アレイシュ・ガルシアなどの主力を失ったチームは、クラブ史上初の欧州チャンピオンズリーグ参加を喜んだのも束の間、2大会を並行で戦うことが負担となり、降格圏手前の16位で何とか残留を決めた。その一方、レガネス、ラス・パルマス、バリャドリードが2部降格のチームとなった。
クラブワールドカップに参加するRマドリードとAマドリード以外のチームは、オフを楽しんだ後、7月から来季に向けて始動する。徐々に夏の移籍市場が活性しており、各チームがどのような補強をして25-26年シーズンに臨むのかが非常に楽しみである。
【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)


