[ 2014年2月8日9時1分

 紙面から ]

 「大盤振る舞い」の裏には、実は「地獄」も待っている。冬季五輪は夏季と比べて予想が難しいのも事実だ。1つは天候、特に山の天気は変わりやすい。滑走順で、運不運が分かれる場合もある。ジャンプは風でも順位が大きく変わる。追い風を受けて失速する恐れもある。金候補筆頭の高梨も、天気にはかなわない。

 不確定なのは氷も同じ。長島と加藤のW金メダルを予想するスピードスケート男子500メートルは、実は大混戦。今季W杯で7人が優勝するなど「候補」は大勢いる。黒海沿岸の低地にあるアドラー・アリーナは日本人が得意な高速リンクではなく、パワーが必要。わずかなミスが、命取りになる可能性も少なくない。

 直前の成績があてにならないのも、冬季五輪の特徴だ。W杯はあくまで五輪への準備。調整のために回避する選手も多い。スノーボードなどは賞金大会を優先する傾向もある。すべての大会に全力で勝ちにいく日本選手の姿勢は評価されていいが、現実の勝負となると別。未知の強豪が飛び出すのも冬ならではだ。

 フィギュアの浅田と羽生は、ミスがあっても銅メダルは堅い。ただ、最悪なら日本のメダルがこの2つだけになる可能性もある。わずかな差で天国と地獄が同居するのが冬季五輪。もちろん、担当記者は天国になることを望んでいるが…。