[ 2014年2月18日8時38分

 紙面から ]メダルセレモニーを終え、銀メダル越しに報道陣をのぞき込む葛西(撮影・井上学)

 4年後は「パパ」で金メダルだ。ノルディックスキー・ジャンプ男子の個人ラージヒルで銀メダルを獲得した葛西紀明(41=土屋ホーム)が一夜明けた16日、五輪公園で行われたメダル授与式で銀メダルを手にした。具体的な予定はないとしながらも、45歳で迎える18年平昌五輪までに結婚し「家族で来たい」と、悲願の金メダルとともに新たな目標を掲げた。

 「レジェンド」には金メダルのほかに夢がある。葛西はこの日、霧雨の中、メダル授与式に参加し、1日たってようやく首に銀メダルをかけられた。92年アルベールビル大会に初出場してから22年でようやく手にした銀メダルに、右手でガッツポーズをして表彰台に跳び乗った。「重いですね。22年間分が詰まっている」と“無邪気”にはしゃいだ41歳は、「予定はない」としながら「次は結婚して家族で来たい」と、4年後の平昌五輪は夫としてパパとして金メダルを狙うことを新たな目標に掲げた。

 端正なマスクで人気も高い葛西が41歳まで「独身」というのはジャンプ界の七不思議とさえ言われる。14日の個人ラージヒル前、海外メディアに結婚を問われ「Im

 going

 to

 get

 married(結婚する)」と発言したと、ソチ五輪公式サイトで報じられ、ちょっとした騒ぎになった。メダル授与式後に聞かれると「あぁ、あれはしたいな、ってだけ。報道になってるの?」と笑顔で一部訂正した。

 追い続けた金メダルには届かず、4年後に悲願は持ち越されたものの、その前に大きな力を得て、ともに戦っていきたいという願望がある。もちろん「家族」とは、姉紀子さんや病気と闘う妹久美子さんらも含まれる。家族とともに4年後まで続く、金メダルロードを歩いていくつもりだ。

 日本選手団の主将として重責を担ってきた。腰の痛みをおしてジャンプ女子の後輩、伊藤有希(土屋ホーム)らの練習に応援に駆けつけるなど大会期間中、自分のことだけでなく、周囲にも気を配ってきた。「メダルが取れて責務は果たせたかな」と満足げだった。

 銀メダル獲得後は、祝福のメールなどが殺到している。16日の朝は9時に起床したが、3時間かけて1つ1つ返信した。同じアラフォー世代からも多い。「うれしいし、お互い刺激し合って頑張ろうと思う」。多くの「愛」を力に変えて、4年後、最も輝くメダルに挑戦する。【松末守司】