ジャカルタ・アジア大会の男子バスケットボール代表選手4人が20日、行動規範の違反で日本選手団の認定を取り消され、帰国処分となった不祥事を受け、日本バスケットボール協会は同日夜、都内で緊急記者会見を開いた。

 会見では、永吉佑也(27=京都ハンナリーズ)橋本拓哉(23=大阪エヴェッサ)佐藤卓磨(23=滋賀レイクスターズ)今村佳太(22=新潟アルビレックスBB)が、ジャカルタ市内で行った買春について、時系列でまとめられた書面が配られた。それによると、4人は16日のカタール戦後、チームディナーを経て午後10時~深夜0時ごろ、選手村から外出して、日本オリンピック委員会(JOC)の服装義務にのっとって公式ウエアを着用し、選手村からタクシーで30分ほど離れた繁華街の日本食レストランで食事と飲酒をしたとされている。その繁華街は「ブロックM」と呼ばれている。

 ブロックMは、インドネシアの首都ジャカルタ首都特別州の、南ジャカルタ市にある繁華街だ。デパート、ショッピングモールなど大型商業施設があり、ショッピングの中心地として知られる。日本食料理店、居酒屋なども多数、出店されているほか、日本人学校などもあり、現地在住の日本人も多くいるという。永吉は会見で「日本食を食べたかった。歓楽街という認識がない。フィーリングでいいと思い、店を選んだ」などと、日本食が恋しくてブロックMに向かったことを明かした。

 資料の中には、19日の午後2時40分ごろ「練習から帰村、昼食終了後に日本オリンピック委員会(JOC)より現地チームスタッフに、選手がカラオケ店に出入りしていた写真を撮られたとの報道問い合わせがあり、事実確認の依頼を受ける」、午後3時半頃「橋本、佐藤、今村に現地チームスタッフがヒアリング。行為をしたことは認めるが、カラオケ店には入っていないことを報告」などと記述があった。

 資料に出てくる「カラオケ店」とは、現地の風俗として、よく知られる存在だという。日本のキャバクラに近い業態で、店内の通路に多数、並んでいる女性から1人選び、個室でカラオケを楽しむシステムが通例だという。女性に触ったり、手を握ったりなどもできる。ルームチャージ、飲んだ酒の代金など含め1万円程度かかるというが、カラオケ後にBO(ブッキングアウト)と呼ばれる連れ出しに応じる女性も少なくないといい、それを狙いに足を運ぶ日本人男性も多いようだ。ブッキングアウトまですると、日本円で3万円程度かかるという。

 資料では、4選手は「カラオケ店」には行っていないとした。一方で17日0時ごろ、そうした風俗店などがあるブロックMの路上で、女性に現地の言葉で声をかけられ、日系企業の人物2名の通訳により現地の女性が買春を持ち掛けていることが分かり、合流した3名の女性と徒歩で5、6分離れたホテルへ同行。1名は後に合流したという。その際の交渉金額は「およそ120万ルピア」(永吉)。日本円に換算し、約9090円にあたる。

 永吉は「現地できれいにされた女性がいて、そういう街なんだと自分で感じることができた」と、ブロックMが風俗街であることを認識したと自ら口にした。買春行為に及ぶ際「良くないことをしていると思った」と“確信犯”であったことまで認めた。

 橋本拓哉(23=大阪エヴェッサ)は、公式ユニホームを着てブロックMに行ったことについて「ご飯を食べに行くという考え…そこまで重要視していない」と答えた一方で、買春行為に及ぶ方向になった段階で「いけないことをしている認識はありました。道中、服装とか見て、いけないと思いつつも…やはり、浮ついた気持ちで、そういう経緯に至りました」と魔が差したことを認めた。

 4人は日本食を食べた際、各人、コップで3杯程度のビールを飲んでいたという。酔って脇が甘くなったのもあったのだろう。買春行為が可能な「カラオケ」こそ入らなかったものの、ジャカルタ有数の繁華街の路上で女性に声をかけられ、誘惑に負けて、「カラオケ」で女性を店外に連れ出すのと同様の買春に及んだ。その代償は、あまりに大きかった。