<陸上:日本選手権>◇3日目◇27日◇広島広域公園陸上競技場

 日本女子短距離のエース福島千里(21=北海道ハイテクAC)が、100メートルでも日本新更新を予感させる快走を見せた。100メートル予選1組に登場し、11秒32でトップ通過。スタートで一気に先頭に立つと、1・5メートルの追い風にも乗って最後は流すように、余力を持ってゴールした。この日が21歳の誕生日。「誕生日なので気持ちよく走ろうと思っていました。まだまだ100%という感じではない。まだまだやれると思います」。決勝へ向け、期待を抱かせるような発言も自信の表れだ。

 11秒32は昨年までなら日本記録。昨年4月の織田記念で11秒36の日本タイ記録をマークし、一躍脚光を集めたが、今は流し気味でもこのタイムを上回れるほど、急成長している。「決勝につながるようにと考えた…、いやそこまで考えなかったか…、普通に走ろうと思いました」と、おっとりとした口調でとぼけた。前日の200メートルを含め、100メートル、200メートルで今季4度も日本新を更新している勢いは続いている。

 レース直後には3組で5位に終わった北海道ハイテクACの先輩、北風が予選を通過したかどうかを心配し、泣きそうな顔を浮かべていた。タイムで拾われたことをテレビ画面で確認すると、ピースサインで駆け寄った。28日の大会終了後にはチームメートとの誕生日会も計画されている。「結果的に記録がついてくればいいが、勝つレースをできればいい」。21歳と1日目を2連覇、200メートルとの日本新2冠で自ら祝う。【北尾洋徳】