全盲のメダリストがまさかの結果となった。ロンドンパラリンピック銅メダリストの和田伸也(38=日本盲人マラソン協会)が「失格」となった。

 レース後、審判員から「失格」を告げられた。1000メートル付近で、伴走者の行場竹彦さんが1つ手前のコースに足を踏み入れたためだ。和田は「失格は初めてで驚きました。ベストを更新できるぐらいの調子でしたが、まあ、しょうがないですよ」と、関西人らしく楽観的に振り返った。

 一方、行場さんは「本当に申し訳ないです…」と謝罪した。和田の日本記録は4分18秒71でこの日のレースだと4分20秒前後だった。2人は4年前から“コンビ”を組んだ。世界選手権などのフルマラソンでのコンビがメーンで、トラックは2回目だったという。

 和田は「網膜色素変性症」のため徐々に視力を失い、20歳で全盲になった。28歳で陸上を始め、30代に入ってからも記録を伸ばしている。全盲ランナーは、1本のロープでつながる伴走者なしでは走れない。健常者の仲間に練習を手伝ってもらい、これまでのパートナーは「100人以上」という。フルマラソンでは、2時間35分39秒をマークし、和田の“本気”に伴走者がついていけないという悩みもある。ランナーと伴走者は一心同体。全盲ランナーの難しい問題が浮き彫りになったレースだった。