男子100メートルの桐生祥秀(21=東洋大4年)が日本人初の9秒台を記録した。

 決勝で追い風1・8メートルの中、9秒98をマーク。伊東浩司が98年に記録した10秒00の日本記録を19年ぶりに更新した。

■桐生の9秒台への歩み

 ◆日本歴代2位 高3になった13年4月、織田記念陸上の予選で自己記録を0秒18も更新する10秒01。98年に伊東浩司氏が樹立した日本記録10秒00まで0秒01差に迫る。

 ◆世界選手権初出場 13年8月にモスクワ大会へ出場。予選2組で10秒31の4着に沈みほろ苦デビュー。

 ◆日本選手権初制覇 東洋大1年の14年6月、決勝で山県亮太を振り切り10秒22で初優勝を飾る。

 ◆日本人初表彰台 14年7月の世界ジュニア選手権で男子100メートル日本勢初のメダルを獲得。10秒34で3位に食い込んだ。

 ◆幻の9秒台 15年3月、米国でのテキサス・リレーで9秒87を記録して優勝。電気計時で日本初の9秒台に突入も、3・3メートルの追い風で参考記録に。

 ◆五輪参加標準記録突破 15年10月の布勢スプリントで10秒09をマーク。リオ五輪参加標準記録の10秒16を上回った。

 ◆3年ぶりの10秒01 16年6月の日本学生個人選手権準決勝で五輪派遣設定記録の10秒01を突破。3年ぶりに自己記録と並んで、初の五輪出場をほぼ確実に。

 ◆涙の内定 16年6月の日本選手権決勝は序盤で右足に違和感を覚えて10秒31の3位。「こんな形で(五輪出場が)内定とは思わなかった」と泣いた。

 ◆歴史的銀メダル 16年8月のリオデジャネイロ五輪400メートルリレーで2位。37秒60は日本新&アジア新記録。桐生は3走で貢献した。

 ◆まさかの落選 17年6月の日本選手権の100メートル決勝で、10秒26の4位と敗れ、まさかまさかの同種目での世界選手権出場を逃した。

 ◆五輪に続くメダル 17年8月の世界選手権ロンドン大会には400メートルリレーだけに出場。個人種目での出場を逃したうっ憤を晴らすかのように決勝では3走で激走。ジャマイカのボルトが負傷するアクシデントもある中、日本は38秒04の記録で銅メダルを獲得した。