陸上男子短距離のサニブラウン・ハキーム(23=タンブルウィードTC)が8日、昨年はヘルニアによる腰痛に苦しんでいたことを告白した。世界選手権(7月、米オレゴン州)の代表選考会を兼ねた日本選手権(大阪・ヤンマースタジアム長居)が9日から開幕。前日会見に臨み、200メートルを走った東京五輪は「痛みと戦いながら走っていた」と明かした。今大会は100メートルのみ出場。4大会連続となる世界選手権の代表内定を狙う。

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“世陸イヤー”に間に合わせてきた。今季の状態が不透明だったサニブラウンが、昨季はヘルニアで万全ではなかったことを明かした。「去年は体にがたがきている状態だった。ずっとヘルニアだったので、痛みと一緒に戦いながらという感じだった」。200メートルで予選敗退に沈んだ東京五輪から10カ月。「(腰痛は今は)全然治っている」と万全を強調した。

故障明けもあり今大会は200メートルを欠場し、自己ベスト9秒97の100メートルに絞った。今季は3月に米国の大会でシーズンイン。4月には追い風参考ながら10秒08(追い風2.1メートル)を記録している。時差ぼけを考慮して、拠点を置く米フロリダから約1週間前に日本に入った。「日本で走る機会はあまりないので、例年以上に盛り上がる走りがしたい」と気持ちは高ぶる。

ヘルニアからの復活。「筋肉はつながっているので」と、違和感は腰だけでなく太もも裏にも及んでいたという。「練習の仕方やウエートの組み方を考えて、模索しながらやってきた」。苦境を乗り越えた。

大舞台で世界を驚かせてきた。世界選手権は16歳だった15年北京大会で200メートル準決勝進出、17年ロンドン大会では同種目で決勝進出。今大会で3位以内に入り、参加標準記録(10秒05)を破れば即時内定となる。目指すのは「優勝してオレゴンの切符。あとはもうやるだけです。練習してきたことを出したい」。相性抜群の世界選手権だけを見据えている。【佐藤礼征】