<陸上世界選手権>◇第8日◇17日◇モスクワ◇男子マラソン

 公務員ランナー川内優輝(26=埼玉県庁)は、21キロすぎに脱落して18位だった。

 あれから2年。18位に終わった前回大邱大会の雪辱を期した川内だったが、結果は振り出しに戻る18位。氷で頭を冷やし、医務室で手当てを受けた後の取材対応で「15分オーバーは夏のベスト」と精いっぱいのプラス思考を口にした。

 確かに6~9月の北半球での4レースで2時間15分35秒は自己ベスト。「単純に力不足。暑さはそれほど感じなかったのに、半分もつけずに悔しい」と声を振り絞った。18キロ付近から苦痛の表情を浮かべ、20キロで2秒だった先頭との差は23キロで38秒差、30キロで2分10秒差。目標の「6位入賞」は絶望のまま走り終えた。

 沿道で埼玉・久喜市の関係者や母美加さん(49)らが大声援。川内自身も制作にかかわった美少女キャラクターの応援グッズも振られた。期待の大きさと好奇の目にさらされ、ここ1カ月は「指名手配されたみたい」と周囲に悩みを打ち明けた。重圧を1人背負ってのモスクワ路だった。

 注目の「進退」。下した結論はリオ五輪を目指す、だ。「アジア大会で金メダルを取って北京でやるしかない。あと2年で(暑さに対し)どう変われるか」。来年9月の仁川アジア大会優勝→2年後の北京世界陸上で日本人最上位入賞者→五輪自動内定。最短ルートで初の五輪を目指す。暑さ克服への戦いが始まる。