女子ゴルフの賞金女王からクレー射撃の女王へ-。11年シーズン限りでツアーから撤退した古閑美保(40)が、オリンピック正式種目のクレー射撃選手転身で、飛躍を期して奮闘中だ。

5月6日、競技の普及活動などに携わる日本クレー射撃協会の「アスリート委員会・副委員長」として福岡県総合射撃場を訪れ、24年パリオリンピック(五輪)出場枠獲得大会への派遣選手選考会を視察。宙に放たれる陶器製(クレー)の標的を撃つ散弾銃の大きな音が響く中、参加選手の動作に熱視線を注いだ。

競技者としては「かっこいいと思ったから、取ると決めた」といい、21年東京五輪をきっかけに、同年、散弾銃を使用するための免許を取得した。現在は「撃つ衝撃と、火薬の匂いをかぐとやめられない。ゾクゾクする」と魅せられ、「競技に出たいので、一生懸命練習しています」。週1回、栃木県の射撃場で鍛錬している。目標は「まずは国体を目指す。3年後の出場はあるかもしれない」と話し、本気で出身地・熊本県のクレー射撃代表入りを目指している。

ゴルフで活躍する前から「祖父が狩猟をやっていて、鉄砲を持って行くのが、かっこいいと思った。持って帰ったシカの刺し身とか食べていましたね」と話し、幼い頃から興味はあった。元々祖父譲り“ショット”のDNAを受け継いでいたようだ。

普及活動にも一役買う。クレー射撃は、日本協会登録の競技人口は男女約2000人で、女子は約60人のマイナー競技。そこで、広める一環として、昨年10月他業種のトップアスリートの知恵を借りる「アスリート委員会」が発足した。そして、趣味からクレー射撃を始めていた知名度抜群の古閑に白羽の矢が立てられた。古閑は「モチベーションが上がる」とし、参加選手に賞金が出るスポンサー付きの大会などを模索中だ。

競技年齢は20~70代までと幅広く、人生100歳時代の選択肢の1つにもなり得る。現在40歳の初心者ながら、練習の指導者から「根性がある。連続で撃ち続けてもめげない」と評されているという古閑。将来の五輪代表も夢ではなく、元賞金女王の新たなチャレンジが注目される。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「We Love Sports」)