<第86回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根-東京(5区間109・9キロ)

 箱根駅伝名物・山登りの5区が、短縮される可能性が出てきた。06年に2・5キロ延びて10区間中最長の23・4キロとなってから比重が増し、選手の負担も増大したとして、3日の大会終了後、各大学の監督から見直しを求める声が続出、今月の監督会議で検討される可能性が高まった。東洋大の柏原竜二(2年)が圧倒的な強さで逆転し、2年連続優勝の原動力になるなど、同区の大逆転が5年連続も続いたことも引き金になった。今大会は往路を制した東洋大が、復路で1度もトップを譲らず、2年連続2度目の総合優勝。往路8位の駒大が復路を制し2位に入った。

 柏原が衝撃的な走りを見せた箱根の5区は、コース変更を求める声が出るほどの事態に発展した。

 山梨学院大の上田監督

 柏原くんがいるから変更するというのは、反対です。選手を育てていく上で、学生の負担は大きい。箱根駅伝を発展させるためには、(以前の距離に)戻した方がいいかもしれません。

 コースが変わったのは、06年から。往路で4区と5区を結ぶ小田原中継所を東京寄りに移動し、4区はこれまでの21キロが18・5キロ、5区は20・9キロが23・4キロになった。従来の中継所が1車線のため、交通の混雑緩和を図り、4区を短縮してトラック専門の中長距離選手に箱根駅伝出場の機会を広げ、5区を延長することでマラソン選手の育成を図るのが狙いだった。

 このため5区の重要度が増し、選手の実力差が明確に結果に表れるようになった。山登りに強い選手がいるチームが勝ち、いなければ負ける展開が増えた。

 東海大の新居監督

 5区は育てるのでなく(適性を持った選手との)出会い。誰もが感じる課題の1つではないか。世界に通じる選手を育てるためというが、基本的には5000、1万メートルを走れれば問題ない。今は、往路優勝も総合優勝もシード権争いも、全部が5区にかかってきている。

 上武大の花田監督

 元の距離に戻した方がいいと思う。柏原くんにもぜひ、2区で区間新を出してほしい。柏原くんが勝ったから言うのではないが、見直しの時期に来ているのではないか。私も2区でステップアップして、世界選手権につながった。

 東洋大の佐藤コーチは、これらの意見について「それは間違い。学生の長距離を鍛える趣旨で始めたのに、それはおかしい」と主張する。柏原も「じゃあなんで(距離を)延ばしたんでしょうか。(佐藤コーチと)同意見です」と話した。

 大会を主催する関東学連の青葉会長は「今のところ、変えるつもりはない。10区間あるのに、1区間で大逆転は、箱根駅伝としてはさみしい。そういう話題も出てくるだろうと思う。でも、柏原くんが強いからといって変えたら、差別になっちゃう」と言った。神奈川大監督で、同連盟の大後駅伝対策委員長は「(1月の)監督会議で議題に挙がれば、検討しなくてはいけない。来年から変わるということはない。大学生に負担が掛かるという意見があるのは事実です」と話した。今後、議論の対象になる可能性は高まった。