<全国高校バスケット選抜優勝大会:札幌山の手74-71桜花学園>◇女子準決勝◇27日◇東京体育館

 連覇にあと1勝だ!

 昨年女王の札幌山の手(北海道)が、桜花学園(愛知)を下し2年連続決勝進出を決めた。佐藤れな(3年)が、3ポイントシュート5本を含む17得点を挙げてチームに流れを呼び込むと、エース長岡萌映子主将(3年)も33得点と奮闘。昨年の高校3冠メンバーの「3年生コンビ」の活躍で、北海道勢初のV2と国体との2冠にダブル王手をかけた。今日28日は初の決勝に進んだ山形商と対戦する。

 応援スタンドにあいさつを終えた長岡主将と佐藤は思わず抱きしめ合った。苦しい戦いを終えた2人に言葉はいらなかった。過去17度の優勝を誇る桜花学園を、夏の高校総体準々決勝に続く撃破。佐藤は「(長岡)萌映子が困った時に頑張りたかった。自分には3ポイントしかないので」と力強く言った。

 局面で3ポイントシュートがさえた。1点リードで迎えた第3クオーター(Q)開始直後。連続得点を許し38-42。相手に傾きかけた流れを、佐藤が3ポイントを決めて止めた。第4Q残り5分44秒で1点差に詰め寄られた場面も再び3ポイントを成功。チーム最多33得点の長岡主将も「今日は自分じゃなく周りに助けられた。(佐藤の)3ポイントが入っていい流れになった」と仲間をたたえた。

 長岡とともに昨年の3冠メンバーだった佐藤は悩んだ時期もあった。新チーム移行後、周囲からは前チームと比較される日々。それに加え、日本代表選出でチームを離れる長岡に代わり主将を一時的に務めたが、整わないチーム状況に焦りを感じた。「萌映子に頼らずプレーしようとみんなで話してきた」。個々人の自立を訴え続け、それがこの日、最も形になった。

 この日の5本で今大会女子最多となる3ポイント計15本となった佐藤を筆頭に、新堀京花(2年)も3本の3ポイントを決めチームで計9本。上島正光コーチ(68)も「こんなチームがここまで来るとは。バスケットになるのにあと5年は掛かる。欲を出さないのがいいのかな」と冗談交じりに振り返り、3ポイントを勝因として挙げた。

 決勝は、互いに選抜メンバーだったが、10月の山口国体決勝で対戦した山形の主力を形成した山形商。連覇に向けた最後の戦いを迎える。長岡主将と佐藤は「最後なので楽しくプレーしたい」と声をそろえた。有終の美を飾る舞台は整った。【石井克】