<全国高校バスケット選抜優勝大会:柴田女49-47山形商>◇女子3回戦◇25日◇広島グリーンアリーナ

 柴田女(青森)は昨年準優勝の山形商を下し、初の8強入りを決めた。

 涙にぬれる山形商とは対照的に、柴田女の歓喜の輪が広がった。互いに1歩も譲らぬ東北勢対決。U-17(17歳以下)日本代表のF中村優花(ゆにか=3年)は、右足がつりながらもフル出場し、攻守で暴れ回った。

 大会初勝利を挙げた1回戦倉吉北(鳥取)戦は、41得点と独り舞台。しかし、この日は違った。山形商・高橋仁監督(56)が「20点は仕方ない」と覚悟した中村の得点は15点。大黒柱にマークが集中したことで、周辺への守備は甘くなる。14点を挙げたG斎藤萌(2年)は「打ちやすい場面が多かった」と感謝した。

 中村に頼りすぎない理想の形だった。これまでは絶対的存在の中村に周囲は依存し、遠慮して意思統一もできていなかった。今夏の高校総体予選は準決勝敗退。小野尚樹監督(40)から「新人戦に切り替える。3年は(部を)やめろ」とまで言われ、選手は目を覚ました。G笹野葉月主将(3年)は「あそこで負けてなかったら今勝ててない。今は(中村に)『落ち着け』とよく言う」と笑った。

 心身ともにチーム力は増した。斎藤萌は夏に2週間、部を離れていた時期もあった。「先生の話を聞いて戻って。優花さんが『一緒に頑張ろう』って最初に言ってくれた」。「柴田女は中村だけ」とは言わせない。結束力を武器に、4強切符を取りに行く。【今井恵太】