<全国高校バスケット選抜優勝大会:札幌日大83-68沼津中央>◇男子3回戦◇26日◇広島グリーンアリーナ
札幌日大(北海道)が昨年3位の沼津中央(静岡)を下し、初のベスト8進出を決めた。エース高橋耕陽(3年)が30得点13リバウンドと連日の大活躍。チーム全員が攻守に走り回るランニングバスケットを展開し、長野雅男監督(62)が就任した一昨年春に立てた「センターコートで戦う(8強以上)」という目標を成し遂げた。今日27日の準々決勝では、男子道勢最高の大会4強をかけて、2年前の優勝校・北陸(福井)と対戦する。
第4クオーター残り0秒4で、電光掲示板が1度止まった。その時点で15点リードし、逆転される可能性はなかった。コート中央にいた高橋耕は瞳を潤ませ、腰のあたりで軽く両手の拳を握りしめた。「3年間が頭に浮かんできて…。我慢できませんでした」。大黒柱が、ほんの少しだけ早く喜びを表現した。
昨年3位の沼津中央をスピードで圧倒した。チームで奪ったリバウンドは、相手を9本上回る51本に上った。3年前、入学直後は練習の大半がランニングだった。校内の1周300メートルのコースを、毎日全力で20周ダッシュ。終了後には筋力トレーニングが待っていた。高橋耕は「全くボールに触れなくて、やめようと思ったこともあった」という。つらかった日々の練習が、大舞台で生きた。
2年前の春が、今回へのスタートだった。最初の練習で体育館に集まった当時の1年生を前に、長野監督は宣言した。「3年後にウインターカップ(今大会)のセンターコートで高校生活を終えよう」。当時の1年生が現3年生。センターコートでの試合となる準々決勝進出が明確な目標になった。8月の「日・韓・中ジュニア競技会」でU-18日本代表に選出されるまでに成長した高橋耕は「点を取るだけの僕が走れるようになったのは長野先生がいたから。約束を果たせて良かった」と声を詰まらせた。
アクシデントもあった。三井啓史(3年)が11月の道予選の直後に左膝を疲労骨折し、1カ月練習を離れた。腰痛が悪化した高地秀明(2年)は経過観察し、直前のメンバー変更で登録した。11月末には森川陸(3年)も練習中に右足首を捻挫した。それでも「入学直後は全国大会なんて夢の状態。だから今日は勝ちたかった」(森川)と、この日の40分中36分以上も走り抜いた。
5年前に長野監督が率いた大麻は、準優勝した福岡第一に道勢過去最多の126失点で敗退した。強豪北陸戦に向け、指揮官は「力の続く限り、全員火の玉になって戦わせたい」と気合を入れた。念願のセンターコートでの試合で、道内高校男子バスケットボール史に残る歴史を刻む。
◆全国高校選抜バスケットボールの道勢男子ベスト8
今回の札幌日大は、02年度の東海大四以来、10大会ぶり。出場48校以上になった90年以降では2校目。参加16校だった72年度の第2回大会で、帯広柏葉が1回戦で北陸(福井)を86-74で下し、準々決勝に進出したのが最初。東海大四は75年度を皮切りに02年度まで通算10度のベスト8進出があるが、道勢男子の4強入りは1度もない。女子は札幌山の手が昨年までの2連覇を含めベスト4進出が通算4度ある。