<全国高校ラグビー:尾道17-0国学院栃木>◇30日◇2回戦◇花園

 尾道(広島)が昨年8強の国学院栃木(栃木)に勝ち、2年ぶりに3回戦進出を果たした。雨でぬかるんだグラウンドでNO8佐倉省吾主将(3年)を中心にFW戦を徹底。3トライを奪って圧倒した。元日の3回戦では、4連覇を狙うAシード東福岡(福岡)と対戦する。

 得点すればサッカーJ1で初優勝した広島の応援歌が花園に鳴り響いた。尾道は雨を味方にFWで押しまくった。NO8佐倉主将は「モールというプランを持っていた。バックスを含めて自然とモールに入ってきた」と胸を張る。強力FW陣は国学院栃木を粉砕した。

 前半2分にラインアウトからモールで押し込んで、フランカー加藤龍也(3年)が右中間に先制トライ。同18分にも30メートルほど押してからモール参加したCTB沢田康一郎(3年)が決める。後半10分に120キロの巨漢プロップ岸良祐(3年)が左中間へトライだ。

 作戦勝ちだった。ボールを回してミスを重ねる相手と対照的に、尾道はFW戦を徹底した。「雨の方が尾道としてはいい。テンションも上がる」と佐倉。平均体重83・4キロと、相手を約5キロ下回る尾道が結束力で圧倒した。しかも失点はゼロ。「満点に近い。ディフェンスが良かった」と梅本勝監督(49)も褒めた。

 チームの結束力を生んだのは主将の統率力だ。梅本監督が「高校日本代表候補に選ばれないのが不思議なくらい。能力が高いし、チームもまとめてくれる」と話す。足首、膝、腰とケガを繰り返しながらも佐倉は練習に参加して、できる範囲で体を動かしてチームをまとめてきた。大阪で野球部に所属した中学生は尾道のラグビーに憧れていた。「先輩から尾道でいい経験ができると聞いて決めた」。その決断は憧れの花園の舞台へとつながった。

 3回戦で王者東福岡と対戦する。佐倉は「個々では劣っている。今日のように相手にプレッシャーをかけていきたい」と意気込む。選抜大会決勝で東福岡を22-24と追い詰めた石見智翠館(島根)を、尾道は春季中国大会で31-19で破った実績がある。波に乗った尾道なら、花園でもう一泡吹かせることが可能だ。【中牟田康】