<バレーボール・全日本高校選手権:東海大四2-1足利工大付>◇5日◇男子1回戦◇さいたまスーパーアリーナ

 東海大四(北海道)が足利工大付(栃木)を下し、2回戦に進出した。高校最後の大会となる3年生と、1年生の力がかみ合い、フルセットの死闘をものにした。

 最後は1年生の柳町逸太が決めた。第3セット、東海大四が24-22として迎えたマッチポイント。若いエースが相手コートにスパイクをたたきつけた。3年生の末藤裕貴は自分で決めたかのように、「ウォーッ」と叫んでひざまずき、おでこをコートに擦りつけた。音楽を聴くのが好きな物静かな最上級生は「自分の役目は声を出して、若いチームを盛り上げること」と、胸を張った。

 春高バレーで3度の優勝を誇る名門だが、現チームは3年生4人、2年生3人、1年生が11人。今大会の道予選も3年連続準優勝に終わっている。昨年6月には桜田義人前監督が55歳の若さで逝去し、王者の面影は薄れかけていた。それでも「力のある1年生の足りない部分を、僕たちの経験で補えれば、勝てると信じていた」と末藤。第1セットは1年生の勢いでものにし、正念場の第3セットでは3年生が決め、流れを引き戻した。

 松田修一監督(26)は高校時代、現在もJTで活躍する塚崎祐平選手(26)をエースに全国3位を経験している。「今の1年生には、当時のチームを超えるポテンシャルがある。3年生になって能力を開花させるためにも、1年生にはできるだけ多く試合を経験してほしい」と話す。今日の2回戦、添上(奈良)戦へ向け、1年生エースの大竹優稀は「新しい歴史を僕たちがつくります」と力強い。抜群のチームワークと向上心で、さらに上を目指す。