ラグビー、トップリーグのNTTドコモに新加入した南アフリカ代表CTBジェシー・クリエル(21)が17日、わずか2時間で日本行きを決断したことを明かした。

 練習合流2日目となったこの日は大阪市内のグラウンドで、仲間とコミュニケーションを取りながら精力的に体を動かした。練習後に電撃来日に至った経緯を語った。

 「ドコモから話があった2時間後に決めたよ。日本でやりたいとずっと思っていたんだ。日本の文化を体験したいと思っていた。まだ2日だけれど、このチームでプレーしてすごく楽しいよ。『家族』という雰囲気だし、選手のスキルも高い。開幕戦(14日、コカ・コーラ戦)の勝利が証明しているよ」

 W杯イングランド大会では全7試合に出場し、日本戦を含む6試合で先発起用された。NTTドコモは、当初加入予定だったオーストラリア代表FBイズラエル・フォラウ(26)の選手登録抹消を10日に発表(足首のケガの影響)。その後クリエルにオファーを出して合意すると、15日夜に来日する運びとなった。時差ぼけのため、この日も午前4時に目が覚めたというが表情は明るい。

 これまでに来日経験はなく、わずか2時間で異国の地への挑戦を決めてしまった。日本のことは今年7月の「町田ワールドマッチラグビー2015」でキヤノンと対戦するため来日した、スーパーラグビー・ブルズに所属する双子の弟ダン・クリエルから聞いたという。

 「W杯で日本に負けてから印象が変わった? いや、(7月閉幕の)スーパーラグビーのシーズン中から日本でやりたいと思っていたよ。敗戦で日本のイメージは全く変わっていない。日本人はハードワーカーだし、国に対する誇りを持っている。日本人自体がそういう傾向だと思っているよ」

 W杯の疲れを取る大事な時期だが、日本行きの決断に後悔はない。「(自身が所属する)ブルズの多くの関係者から『休みが必要』と言われたけれど、僕はそう思っていない。より多くの試合を積むことが大事だし、違う国で、違うスキルを知ることができるのだから」。次節の21日キヤノン戦はメンバー外となる見込みだが、29日神戸製鋼戦(神戸ユニバー)以降の日本デビューをにらむ。

 NTTドコモは今季、身長204センチでロックを務めるエツベスと、SOポラードの南アフリカ代表メンバーを補強。クリエルはポラードと母国でルームシェアをしていたこともあり、環境面は申し分ない。ワールドクラスのスピードは下沖監督も「やっぱりレベルが違いますよ」と評する。クリエルは最後に、日本のファンへ向け「期待されている通りのプレーを見せたいです。ただ、それよりもドコモに貢献できるプレーをしたい。個人のことどうこうより、チームのためにプレーします」と約束した。