幼なじみ2人の絆は固かった。今夏の高校総体で4強入りした札幌山の手(北海道)が、貫禄勝ちで10年連続の初戦突破。2回戦で龍谷富山を115-65で下し、5年ぶりの全国制覇へ好発進した。今大会、日本人選手最長身188センチを誇るU-18日本代表のエース栗林未和主将(3年)が4ファウルと退場危機の中、池田玲奈(3年)が3ポイントシュート14本で42得点と荒稼ぎ。コンビ復活で圧倒した。

 身長差28センチの凸凹コンビが、頼もしい。ゴール下で圧倒的な強さを発揮する札幌山の手のエース栗林への徹底マークをあざ笑うかのように、3ポイントラインの外側から、池田が次々とシュートを決めた。精密なコントロールで描いた曲線は、実に14本。「アップでは入らなかったけど、試合では思い切って打てた。(全国大会では)一番かも」。成功率は、ちょうど5割。3Pシュートだけで、チーム最多42点を荒稼ぎした身長160センチのヒロインは、人なつっこい笑顔で滴る汗をぬぐった。

 11月中旬のアジアU-18女子選手権(タイ)で道予選を欠場した栗林にとっては、大事な復帰戦だった。20年東京五輪の戦力として期待を集める逸材だが、この日は第1クオーター(Q)だけで3つの反則を犯し、途中でいったんベンチへ下がった。想定外の事態に「池田の3Pで助かった。あれで勝てたようなもの」と、上島正光コーチ(72)はひと安心だ。第3Qで再びコートに戻った栗林にボールを集め、内では栗林、外から池田と理想的な試合運びで点差を広げた。

 池田が札幌清田緑小2年で競技を始めた時から、そばにはいつも栗林がいた。自宅は車で5分の距離。登下校も一緒で、大会期間中の宿舎も同部屋だが、卒業後の進路は別々だ。「11年、一緒にやってきたけど、これで最後。後悔しないように頑張ろう」。大会直前、約束した。

 「タイと北海道の気温差が30度くらいあって、体調を崩したりもした」と調整の難しさを痛感していた栗林は「前半に玲奈のシュートが入ってなかったら、やばかった」と、幼なじみの活躍に感謝する。2人の目標は、もちろん5年ぶりの全国制覇。コンビの集大成として、最高のエンディングを思い描く。【中島宙恵】

 ◆札幌山の手の選抜初戦突破 07年から今年で10年連続初戦突破となった。07年はベスト8。09年には当時の同校最高位タイの3位に入る。翌10年に初優勝し、11年には2連覇。初制覇の10年には総体、北海道選抜の主体となって出場した国体とを併せ3冠達成。選抜では4年ぶりに3回戦に進出した昨年は昭和学院(千葉)に25年ぶりに100点以上を取られ敗退した。