男子の帝京長岡(新潟)が81-51で2度の優勝を誇る延岡学園(宮崎)を寄せ付けず、初のベスト4に進出した。マリ人留学生のセンター(C)デイアベイト・タヒロウ(3年)が、身長203センチの高い身体能力を発揮して32得点、19リバウンドの大暴れ。3点シュート、ミドル、ダンクとオールラウンドの強さを見せつけた。県勢では04年の新潟商以来12年ぶり3度目の4強入り。きょう28日の準決勝は、県勢初の決勝進出を狙って、インターハイ王者の「第1シード」福岡第一と対戦する。

 手がつけられない強さだった。帝京長岡・タヒロウのうまさとパワーを、延岡学園は誰も止められなかった。ハイライトは61-42で迎えた第4クオーター(Q)だ。4種類の多彩なシュートを4連続で決めた。ミドル、ドリブルで切り込んでからのレイアップ、そして豪快なダンク。最後は柔らかいタッチの3点シュートをリングに入れた。「得点を、もうちょっと欲しかった」。70-42とリードを広げた残り5分29秒でお役御免になったが、32得点19リバウンドの暴れっぷりだった。

 タヒロウは「きょうはモチベーションが上がった。誰からかは秘密だけれど、『頑張って』という電話が試合前に入った」と笑った。「3点シュートは、試合前にチームメートと約束していた」という公約もきっちりと果たした。柴田勲監督(47)は「やりすぎだと、僕は思う」と、半ばあきれながらも「やりたきゃ、やれです」とパワー満点のエースの手綱を締めることはなかった。

 言葉は母国マリのバンバラ語のほか、英語、フランス語、スペイン語に堪能で、日本語も3年間で流ちょうに話せるようになった。「コミュニケーションがうまく取れる」と言うのが好調の要因だ。柴田監督は「3月に(タヒロウの)父が亡くなり、8月には祖父が亡くなった。一時は落ち込んだが、踏ん張って高校生活を送っている」と留学生エースのタフさを明かす。「勝つためにもっとペースを上げる」というタヒロウは、あと2勝のために、パワーのギアを1段上げる覚悟だった。【涌井幹雄】