車いす女子シングルスで世界2位の上地結衣(22=エイベックス)が単複2冠を達成した。シングルスで同7位のエラーブロック(ドイツ)に7-5、6-4とストレート勝ちを収めると、続くダブルスでもバウス(オランダ)とのペアで優勝。14年大会以来3年ぶりの2冠を達成した。

 強い。今大会、シングルス、ダブルス合わせて5試合で、1セットも落とさないストレート勝ちで、上地が単複完全優勝を果たした。シングルスでは世界1位が初戦敗退するなど波乱の中、しっかりと地力の差を見せつけた。「前回の時も2冠。それはすごくうれしい」と笑みがはじけた。

 内容には不満を感じている。シングルスは「バックがうまく打てず、そればっかりに頭がいった」。途中でサービスを打つサイドを間違えるほど、バックのことで頭がいっぱいだった。ダブルスは「ペアに助けられた」。それでも力の差は見せつけた。

 今季シングルスは30戦して1敗しかしておらず、ダブルスも17戦で3敗のみ。それも今季は「いろいろ試す時期。東京(パラリンピック)に向けた土台づくり」という過渡期にかかわらず、この強さだ。

 今大会が終わって約5年ぶりと本人がいう“新車”が届く。新しい車いすは、座高が高く、車輪の直径が1インチ大きい。高い球に手が届き、車輪が大きい分、惰性も効く。「何が変わるのか試したい」。シングルスの年間4大大会全制覇、そして20年東京パラリンピックでの金メダル獲得を視界にとらえた。【吉松忠弘】