世界9位の錦織圭(27=日清食品)が、4大大会の自己最短となる試合時間1時間12分で快勝した。同102位のマルコ・チェッキナート(24=イタリア)に6-2、6-2、6-0のストレート勝ち。2週前に左臀部(でんぶ)を痛めた影響を感じさせず、14年ウィンブルドン2回戦の1時間28分を更新する最短試合で6年連続の2回戦進出だ。

 強い、うまい、そして早い。錦織が絶好調のスタートを切った。3セットで、あっという間の72分。棄権を除き、4大大会の自己最短試合で快勝した。「早ければ早いのに越したことはない。それに内容もついてきた」と、余裕しゃくしゃくの快勝だ。

 まるで実戦形式の練習のようだった。「先にブレークしたので、いろいろ試しながらやっていた」。スタートから4ゲームを連取。まったくつけいるすきを与えず、完全に主導権を握った。最後まで、1度もサービスゲームを落とさず、久々の完勝だ。

 相手は10年にウィンブルドンのジュニアに出たのが、芝の大会に出場した最後。一般の大会では、この日が初の芝でのプレー。直前もミラノで、クレーのツアー下部大会に出場して準決勝まで進んでおり、芝は2~3日しか練習していない。その相手を、完膚なきまでにたたきつぶし、芝の怖さを教えた。

 2週前のゲリー・ウェバー・オープン(ドイツ)2回戦で、左臀部を痛め、途中棄権した。6月26日にドイツからロンドンに入り、翌27日から練習を再開。「もう100%に近くなっている。試合中も問題はなかった」。最短試合も、ケガの再発予防に貢献している。

 これまで錦織が4大大会本戦で戦ったのは、この日を含め98試合だ。そのうち、途中棄権で勝負がついた7試合を除き、91試合で最も試合時間が短い快勝となった。「いいところはたくさんありました」と十分に手応えをつかんだ。

 錦織は4大大会の1回戦前には、あまり眠れないほど緊張するという。しかし、この日は「相手が良くなかったので、すぐに緊張は吹っ飛んだ」。会見では何度も笑みがこぼれた。久々の快勝に気持ちもうきうきだ。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 4日午後7時半から。5日午前0時から、ともにWOWOWライブ。生中継。男女シングルス1回戦ほか。