20歳の新星、第2シードの高橋悠介(三菱電機)が、史上4番目の若さで初優勝だ。14年覇者で第5シードの江原弘泰(26=日清紡ホールディングス)に第1セットを完封されながら、0-6、6-4、7-5で逆転勝ち。会場の有明コロシアム及びテニスの森公園は11月末から20年東京五輪のために改修に入るため、高橋は現在の会場で最後の全日本王者となった。

 2時間4分かけての大逆転勝ちに高橋は両手を突き上げ、喜びを爆発させた。「名前のある大会で優勝できて誇りに思う。本当にうれしい」。92回の歴史で第1セット0-6で落としてからの逆転優勝は史上初だった。世界ランクは高橋の242位に対して相手は389位と、実力は高橋の方が上だが「少し緊張していた」と、相手の緩い球がつくる嫌な“間”にスタートからミスが出た。そこから「1ポイント、1ポイントに集中」してリラックスし、持ち味の攻撃テニスで相手の粘りを崩し、最後は得意のフォアで流れを制した。現会場で最後の王者となった高橋は「ここで戦えたのはすごくうれしい」と、今度は新装なった有明の東京五輪で羽ばたく。

 ◆高橋悠介(たかはし・ゆうすけ)1997年(平9)10月17日、横浜市生まれ。4歳でテニスを始め、14年に全日本ジュニア18歳以下、高校総体の2大タイトルを制覇。16年1月にプロに転向し、今年10月の楽天ジャパン・オープンで予選を突破し、ツアー大会初の本戦出場。湘南工大付高卒。自己最高位は世界242位。170センチ、68キロ。

 ◆男子シングルス年少優勝 最年少は、17歳9カ月で優勝した89年の谷沢英彦。昨年優勝の錦織陽介は18歳6カ月で2番目の若さ。10代での優勝は2人だけ。続くのが20歳9日で優勝した96年鈴木貴男で、高橋の20歳12日は4番目。