全日本のヒーローは俺だ!! 体重無差別で争う柔道の全日本選手権(29日、東京・日本武道館)で大会3連覇を狙う100キロ超級の王子谷剛志(25=旭化成)が28日、60キロ級世界王者の高藤直寿(24=パーク24)をライバル視した。

 東京・講道館で行われた前日会見に出席。王子谷は推薦選手として初出場の高藤について「全日本は小さい選手を応援する傾向がある。高藤が出るとちびっ子のヒーローになるので、そこを僕にもっていきたい。『宣戦布告』されたので高藤のところまで上がりたい」と闘志を燃やした。

 ともに順当にいけば、決勝で対戦する。高藤は19日の代表合宿で「1つ1つ勝って(決勝で)王子谷選手を倒したい」と宣戦布告していた。王子谷は、高藤の1学年上で神奈川・東海大相模中から東海大まで同じ。体格では身長26センチ、体重85キロも上回っているが、「優しい先輩」として知られていた。

 今大会には中学時代の寮部屋「202号室」で一緒に生活していた、王子谷と高藤、73キロ級世界王者の橋本壮市(26=パーク24)の3人が出場する。同じ部屋から3人も出場することは異例で、王子谷も「この部屋にいたのはうれしいし、その環境だったからここまで強くなれたのかも」と感慨深く語った。

 しかし、勝負は別だ。髪形も“全日本仕様”の年に1回しかしない丸坊主にした。「全日本は特別な場所。昨年と同じ気持ちで『この大会に勝つんだ』という強い気持ちで臨みたい」。2年連続で世界選手権(9月、アゼルバイジャン)代表を獲得するために気合を入れた。