女子のアジア大会(8月・インドネシア)代表に決まった伊佐風椰(いさ・かや、16=神奈川県)は「スポンサーから期待されていたので、勝ててうれしい」と笑顔で話した。予選を5位で通過し、8人の決勝も1本目は5位。2本目に得意の回転技で155点を出し、織田夢海(15)に1点差で初優勝した。

 スケボーを始めたのは6歳の時。相模原市の自宅近くの公園にできたスケートパークを犬の散歩をしていて見つけた。「やっているお兄さんたちが、かっこいいと思って」始め、とりこになった。毎日男子に混じって練習し、何度もケガを経験して技を磨いた。小5で日本スケートボード協会(AJSA)の中部サーキットに優勝。女子で、しかも小学生で優勝したのは初の快挙だった。

 両親の影響で始める選手は多いが、伊佐の両親は未経験者。父幸司(ゆきじ)さんは試合を見たことがなく、母五絵子(さえこ)さんも「私は練習や試合の時の運転手」と笑う。この日は、昨年風椰とともに強化指定選手になった姉の風秋(ふうき)さんが裏方に回ってサポート。ライン取りやトリックの種類など、高得点を引き出す戦略を練って妹の初優勝を支えた。

 現在は市内女子高の2年生。練習時間の確保や遠征のために通信制の高校に通うトップ選手も多いが「大学までは行きたいと言っていますね」と五絵子さん。今も放課後は練習、早朝起きて勉強をする毎日。本場米国に、大学時代に留学する夢を持つ。

 アジア大会は「ピンとこない」と言った。「すごく出たい」という東京五輪(オリンピック)は意識しても、アジア大会となるとこれまで見たこともない世界だ。それでも、日本代表の西川隆監督(52)は「競技歴が長く、経験がある」と期待する。この日4位以内で強化選手入りしたのは、自身を除けば11歳と12歳。「若い」選手に混じって競技歴10年の「ベテラン」の意地を見せた伊佐は「もっともっと練習をして、技の完成度を高めていきたい」とアジア大会、東京五輪を目指して話していた。