世界21位の錦織圭(28=日清食品)が、昨年7月のウィンブルドン以来となる4大大会に復帰した。主催者推薦で同304位のジャンビエ(フランス)に7-6、6-4、6-3で勝ち、4大大会では昨年のウィンブルドン2回戦以来、326日ぶりに勝利した。錦織は昨年8月に右手首の腱(けん)を脱臼。昨年9月の全米、今年1月の全豪を欠場し、1月下旬にツアーに復帰した。女子の奈良くるみ(26)は敗れた。

 復帰戦の相手の打球音が1番コートに響いた。ほとんどのショットをフルスイングする強打に、錦織も驚いた。「彼のランキング以上に強かった」。安全策もつなぐ球もなく、ミスか決定打かのオンパレード。193センチの長身から打ち下ろすサーブも時速200キロ以上。さすがの錦織も面食らった。

 ただ、相手は全くの無名。ツアー本戦はこれが初めてだった。百戦錬磨の錦織と、底力は圧倒的な差があり「大事なポイントはしっかり押さえた」と最後まで余裕があった。パワーでは劣るが、打たせて取る戦法で、相手のミスを引き出し、大事なポイントは締めた。結局、最後まで自分のサービスゲームを落とさずに貫禄勝ちした。

 久々の4大大会に「楽しみだったし、十分にいいテニスはできた」。昨年は赤土前哨戦で7試合をこなしての本番入り。それも急きょ、全仏前週に大会に出て試合数を増やした。今年は予定通りの大会数で12試合を戦い、モンテカルロでは準優勝も経験した。「やっとクレーから、自分が思ったようにボールが飛んでくれている」。

 他の4大大会ではない日曜開幕。この日に試合が入れば、2回戦は2日後。加えてストレート勝ちなら、十分に休養が取れる。次戦の相手は、1回戦が月曜の試合で、中1日で錦織との2回戦となる。「久々の5セット試合。そこだけが不安」と言っていた体力だが、断然有利に立った。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 28日午後5時55分から。29日午前0時から。男女シングルス1回戦など。ともにWOWOWライブ。生中継。