男子プロバスケットボールのBリーグ、レバンガ北海道の折茂武彦選手兼社長(48)が28日、現役26季目となる18-19年シーズンの契約記者会見に臨んだ。23日に母豊子さん(享年74)が肺がんで他界。亡くなる直前まで叱咤(しった)してくれた母に、残り171点の国内リーグ通算1万点と、初のチャンピオンシップ進出を贈る覚悟を語った。

 「兄弟の中では霊感の強い方でね」。17日、東京の実家で在宅治療中の母を見舞った。翌朝「いやな予感がして」自宅の門を1度出てから引き返し「抱きしめていいか」とたずねた。30秒、無言で母を抱え、後ろ髪を引かれながら仕事に向かった。息を引き取ったのは、5日後だった。

 トヨタ自動車時代、3回リーグ優勝したが「(母は)1度もほめてなかった。30歳を過ぎてからは『きれいにやめなさい』とばかり言われた」と振り返る。近年、母はテレビ観戦はしていたが「チャンピオンシップ以外は見に行かない」と、会場に足を運ぶことはなかったという。「今季は母にチャンピオンシップを見てもらうための戦い。1万点も必ず達成したい」。悲しみをこらえ、折茂が静かに言った。【中島洋尚】