競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス)の、衝撃的な白血病の公表から一夜明けた13日、祈りの輪が広がった。国内外のアスリート、各界の著名人などから多くの声がわき上がった。

治療を最優先に入院中で練習再開は未定ながら、20年東京オリンピック(五輪)の夢を抱いて、過酷な現実と向き合う18歳に対し、数多くの共感が寄せられた。池江の強い意志は国、人種、競技を超えて人々の心を揺さぶった。骨髄移植のドナー登録を行う日本骨髄バンクには、池江が白血病を公表した12日に通常の50倍にあたる271件の資料請求が寄せられた。

支援の輪が広がっている。池江が白血病を告白してから一夜明けた13日、日本骨髄バンクには問い合わせが相次いだ。担当者によると前日12日、インターネットの資料請求は、通常1日5、6件ほどだが、約50倍となる271件にのぼったという。「1日で1カ月分以上の問い合わせがありました」と同担当者。またこの日「どこでドナー登録できますか?」など、いつもは1日10件程度という電話の問い合わせは「鳴りやまない状態」と約110件に及んだ。メールも約40件届いた。

ドナー登録者は昨年末で49万3627人いる。移植を希望している患者に白血球のタイプが適合するドナーがいる確率は約95%まで上がっている。ただ、実際に移植を受けられるのは約57%だという。数字が上がらない要因は、ドナー側にある。17年度実績で移植に至らなかった理由の96%がドナー側だった。そのうち健康状態以外の理由が68%。内訳として最も多かったのが仕事が忙しいなど「都合付かず」で42%。次いで住所や電話番号が変わったなど「連絡とれず」が34%だ。同担当者は「数としては50万人近くいますが、全員に提供の意思があるわけではない」とも話す。

池江が「慢性」か「急性」かなど、詳しい病状は明らかにされていない。治療法も急速に進歩する中、どのような選択をするかも分からない。ただ、提供の意思を持ったドナー候補者が増えることは、多くの人命をつなぐ道となる。【上田悠太】