AS男子、世界へ。ジョイフルアスレチッククラブ(茨城)所属の中学3年、佐藤陽太郎(14)が3年連続で日本選手権に出場した。

初出場の中1時は身長157センチだったが、今年は173センチに成長。逆三角形の体で女子選手7人とチームTRを演じた。8月には日本代表として世界ユース選手権(スロバキア)の混合デュエットに出場予定。同種目は国際水連が24年パリ・オリンピック(五輪)での採用を求めており、14歳が「令和」で五輪メダリストになる可能性もある。

頭ひとつ大きな男の子が先頭をきびきび歩いた。チームTRの入場。佐藤は3年連続となった日本選手権に「だいぶ慣れてきました」とにっこり。1人だけ髪を固めるゼラチンいらずの短髪で上半身裸。でも水に入れば、違和感はゼロ。ぴたりとそろった両足がスッと伸びる。5歳から始めたAS歴はすでに10年近く。日本男子選手の中で、圧倒的なキャリアを誇る14歳だ。

身長もぐんぐん伸びている。中1時は157センチ、47キロで愛くるしいぽっちゃり体形。中2時で163センチ、45キロと肩幅も広くなってきた。今年はなんと身長が10センチも伸びて、173センチ、55キロ。逆三角形の体でリフトの土台も務める。

体だけじゃなく、意識も変わった。昨春は興味がなかった非五輪種目の混合デュエットに同12月から挑戦。同じ所属で1学年上の岡野日和(ひより)と練習を重ね「チームと混合の違いは特にないです」とけろり。その伸びしろに日本水連は世界ユース選手権(8月28日開幕、スロバキア)の日本代表に選んだ。本間AS委員長は「佐藤は高さがあってシャープに泳げる」と評価。佐藤は「やるチャンスをもらえたので頑張りたい」と世界の舞台に目を向けた。

現在は世界選手権が最高峰の大会だが、国際水連は24年パリ五輪での採用を希望。五輪で女子だけのASに男子が入れば、国際オリンピック委員の「男女の均等」という狙いにも沿う。佐藤が世界ユース→世界ジュニア→世界選手権とステップアップする間、五輪種目に変わるかもしれない。「令和」時代、14歳がAS男子初のメダリストになる可能性もある。【益田一弘】

◆佐藤陽太郎(さとう・ようたろう)2004年(平16)8月10日、茨城県つくば市生まれ。2歳で水泳教室に入る。3歳年上の姉友花(ともか)にASを指導していたコーチの勧めで、5歳から競技を始める。中1時の17年4月に日本選手権でフリーコンビネーションに出場。同選手権に出た初の男子となる。家族は両親と姉。好きな食べ物はたこ焼き。173センチ、55キロ。