20年東京オリンピック(五輪)で実施する馬術競技のテスト大会(総合馬術)が13日、海の森クロスカントリー会場(江東区)で行われた。会場はお台場よりさらに南東の東京湾に浮かぶ中央防波堤にあり、日差しを遮る建物はなく、直射日光が人馬を苦しめた。

競技は午前10時から同11時過ぎまで行われた。気温は30度以上、湿度は約80%という高温多湿に選手からは、競技時間の前倒しを要望する声が上がった。

12年ロンドン五輪出場の佐藤賢希(35=明松寺馬事公苑)は「65頭もいれば最初と最後の人馬で暑さが違い(成績に)差が出る。今回、海外の有力選手も来ているので話し合って、選手としての意見を出したい」と主張した。

五輪本番の総合馬術クロスカントリーは午前8時30分から同11時55分予定。佐藤は「できたらマラソン同様、6時ぐらいのスタートが望ましい。5時でも良い」と話した。

18年世界選手権の総合馬術団体戦4位メンバー戸本一真(36=JRA)も「今回、視察だけで来ている国もいる。それらも含め声を上げていかないと。希望は6時ですね」と語った。戸本らは半年以上前にも、開始時間を早めるよう要望していたという。

一方で、早朝スタートにすれば観客は集まりにくい。「日本の方が見に来てくれることはホームの利点。難しい問題」とも話した。

佐藤の個人コーチでもあり総合馬術個人戦で五輪連覇中のミヒャエル・ユング(37=ドイツ)は「6時スタートは良いアイデア。しかし、いくらスタート時間を変えても、全員が同じ条件というのは難しい」と語った。

開幕1年前を切り、最近では各選手から競技運営体制への要望が相次いでいる。陸上競歩の鈴木雄介は、皇居前のコースに日陰がないとし、コース変更を要望。今月11日にお台場海浜公園で行われたオープンウオーターでは、水温が高く国際水泳連盟(FINA)の規定ギリギリだったため、同連盟自体が五輪本番の午前7時開始を早めるよう大会組織委員会に提案した。さらに選手からは「正直臭い。トイレのよう」との苦情が相次いだ。

各競技、テスト大会を重ねるにつれ、選手側の意見は増えるとみられる。「アスリートファースト」を掲げる東京大会だが、大会組織委員会や東京都がどこまで、選手目線とのギャップを埋められるかが課題となる。【三須一紀】