夢への第1歩だ。バスケットボール日本代表の馬場雄大(23=A東京)が17日、都内のホテルで記者会見し、NBAのマーベリックスから正式オファーを受けて挑戦を表明した。18日に渡米し、近日中に契約する。

10月1日からのトレーニングキャンプに向けて準備を早速始め、15人の開幕登録メンバー入りを目指す。同23日の開幕戦で対戦するのは、ドラフト1巡目ルーキー八村塁を擁するウィザーズ。いきなり日本人対決が実現するかもしれない。

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堂々と、晴れやかな表情で馬場は宣言した。「米国行きを決めました。ダイナミックなプレーをNBAでも披露したい」。198センチの長身がひときわ大きく映った。

マーベリックスから正式オファーが届いたのは8月。「驚いたと同時に、夢はここから始まると決意を固めた」と振り返る。7月に若手の登竜門サマーリーグに参加し、攻守両面で持ち味のハードプレーを発揮。NBAでも通用しうる素質の高さと実力を示した。今月に中国で行われたW杯では、米国戦で18得点を挙げる奮闘でさらに評価を高めた。富山・奥田中の後輩で、今夏にウィザーズからドラフト1巡指名を受けた八村からは「(マーベリックスも)18得点は絶対見てくれていますよ」と言葉をかけられた。

契約書へのサインはまだだが、近日中に締結する見通し。Bリーグ出身選手がNBA球団と契約するのは初めてとなる。馬場は「Bリーグを経験して行くパイオニアになりたいと考えていた」と話す。NBAの契約には下部チームと一定期間行き来できるツーウエー契約など、さまざまな形態が存在する中で、10月のトレーニングキャンプでアピールし、開幕メンバー入りを目指す。過去にNBAでプレーした日本人はサンズの田臥勇太(現宇都宮)とグリズリーズの渡辺雄太の2人。仮に開幕メンバーから漏れても日本に戻るつもりはなく、下部リーグで修行を積む決意だ。

10月23日の開幕戦で、マーベリックスが本拠地に迎えるのは八村のウィザーズ。中学時代のチームメートが、NBAの開幕戦でいきなり激突するかもしれない。「一緒にプレーできれば夢のよう。自分もわくわくしているし、現実になるように精進するだけ」。視界の先には、憧れの舞台がくっきり見えている。【奥岡幹浩】

◆馬場雄大(ばば・ゆうだい)1995年(平7)11月7日、富山市生まれ。富山・奥田中では後輩の八村塁とチームメート。筑波大在学中の17年にBリーグのA東京に入団し、チームの連覇に貢献。新人賞やチャンピオンシップ最優秀選手賞(MVP)を受賞した。17年に日本代表デビュー。今年のW杯は5試合に出場。198センチ、90キロ。ポジションはスモールフォワード。

◆ダラス・マーベリックス チーム設立は1980年。テキサス州ダラスに本拠を置き、西カンファレンス南西部地区所属。略称はマブズもしくはマブス。チーム名は60年頃に放映された西部劇のテレビ番組に由来する。ドイツ出身のノビツキーが活躍した11年に初優勝を果たした。昨季は33勝49敗で西カンファレンス15チーム中14位。新人王のドンチッチが所属する。本拠地はアメリカン・エアラインズ・センター。