日本オリンピック委員会(JOC)と日本パラリンピック委員会(JPC)は23日、2020年東京五輪・パラリンピックで使用する日本選手団公式服装のデザインを発表した。開会式の入場行進で着用する。五輪、パラで初めて同一デザインとなった。

開会式用は日の丸をモチーフに上下が「赤白」だった1964年東京五輪モデルを踏襲しつつ、2020年大会の独自性を表現するため上下を「白赤」と逆転させた。五輪で1100人分、パラで500人分を準備する。

上下ともにポリエステル製。ジャケットは特殊技法で小さな穴が開いた生地を使用し、高い通気性とストレッチ性を確保した。下はシワになりにくい仕立てにした。男性はノータックかワンタックパンツから、女性はパンツ、キュロットから選べる。JOC担当者によると、競技ごとに違う体形でも広く着られるとの理由から、キュロットが採用された。

紳士服大手のAOKIが製作。64年時の公式服装を研究し、今回のモデルにも当時の細かい工夫を取り入れ、ボタンにはJOC、JPCのエンブレムを刻印した。64年時は、きり箱に入れて各選手に配布したという。今回も特別な包装で祝祭感を出す方針。同社は全国からスタイリスト約300人を選び、選手の採寸に当たる。公式服のレプリカ販売は今後の検討とした。

JOCとJPCが合同で設置した選定委員会で決まった「ニッポンを纏(まと)う」をコンセプトに同社の提案が採用された。JOCによると、同委では色味について「赤白」を入れた方が良いとの意見が多かった。【三須一紀】

○…式典用はジャケットが紺色で生地は麻100%で仕上げた。ジャケットボタンは金メッキで、各エンブレムをあしらい、まさに64年大会と同様のデザインにした。開会式用も同様にワイシャツ、ブラウスには赤いストライプ柄を入れ、ネクタイ、スカーフ、ベルトなども含め、全て日本製で作製した。

○…テクニカルオフィシャル(審判などの技術役員)ユニホームも発表された。熱さ対策、持続可能性、多様性をテーマにフォーマル着はAOKI、カジュアル着はアシックスが開発。ジェンダーへの配慮で前者はユニセックスのジャケットとスラックスで統一(スカート廃止)され、ネクタイやスカーフも自由選択制となった。ともに5000着強ずつ用意される見通し。

▽ウエートリフティング三宅宏実 赤に優しい色味があり、かわいらしい

▽パラアーチェリー上山友裕 車いすのタイヤで袖が黒くなるのを防ぐため、袖を短めに切ってある。

▽パラ陸上・前川楓 五輪、パラが同じユニホームですごくうれしい

▽パラトライアスロン土田和歌子 障害に合わせてサイズを測ってくれるので、動きやすい

◇歴代五輪の開会式公式服装

▼64年東京 東京・神田の洋服店主、望月靖之がデザイン。上赤×下白は定番化し88年ソウルまで続いた

▼92年バルセロナ 森英恵が担当。赤と白の割合が逆転、襟なしジャケットや膝上丈ミニスカート初採用

▼96年アトランタ 芦田淳が担当。シャツやスカートにライトグレー採用

▼00年シドニー 日本ユニホームセンターの5人がデザイン、西武百貨店が製作。森英恵を委員長にドン小西も選考委に名を連ねた

▼04年アテネ 高田賢三が手掛けユニクロが製作。鈴木大地、古賀稔彦、小谷実可子、陣内貴美子が選考委員を務めた

▼08年北京 はるやま商事とミズノが製作。女子の左胸にスワロフスキー

▼12年ロンドン 東日本大震災後初の五輪。日本の元気と底力を示す目的で上赤×下白の「望月デザイン」が復活。製作は高島屋

▼16年リオデジャネイロ 情熱を表す赤ジャケットに勝ち色の紺ネクタイとリボンタイ。引き続き高島屋