【仁川(韓国)4日】フィギュアスケート男子の羽生結弦(25=ANA)が決戦の地へ入った。4大陸選手権(6日開幕)へ、2年前に冬季オリンピック(五輪)2連覇を果たした平昌(ピョンチャン)大会のプログラムに回帰した理由を初告白。「自分らしく滑れる」と説明し、3年ぶり4度目の出場で初優勝を目指す。勝てば五輪、世界選手権、グランプリ(GP)ファイナルに続く主要国際大会完全制覇の男子初の偉業となる。

66年ぶり快挙から2年、羽生が五輪連覇の地に帰ってきた。新型コロナウイルスによる肺炎もしっかり警戒し、この日も愛用する高性能マスクを着けて到着ロビーへ。韓国のファンや地元局のカメラに、もみくちゃにされ「大丈夫ですか?」「走んないでくださーい」と周囲を気遣いながら歩を進める。混乱の中、今大会から戻す「V2プログラム」について聞かれると施設の出際に立ち止まった。

ショートプログラム(SP)もフリーも平昌大会の「バラード第1番」と「SEIMEI」に回帰。国際スケート連盟(ISU)が1日に“フライング”したことに「バイオ(グラフィー)で発表されちゃってビックリしたけど」と笑いながら「やる予定です」と初めて認め「理由として言いたいことは多々あるんですけど、自分自身が目指しているフィギュアスケートが一番できるものが、今はSEIMEIとバラード第1番かなと。そのプログラムたちと一緒にまた滑りたいな、と心から思えたので」と自らの言葉で説明した。

この日はISUを通じて構成予定も発表し、4回転はSPがサルコーなど2種2本、フリーはルッツなど3種4本とした。前人未到のクワッドアクセル(4回転半)こそ回避したが、平昌で封印した4回転ルッツを解禁した。その先には男子初の記録が待つ。過去3度すべて2位で、意外にも縁がなかった唯一の大会が4大陸。初優勝すれば五輪、世界選手権、GPファイナルを制した完全王者になる。

国際オリンピック委員会(IOC)の運営サイト「オリンピックチャンネル」はそれを「スーパースラム」と名づけた。ジュニアに続き、シニアでも遂げて王座奪還へ。「自分らしく滑れるプログラムかなと思って…やります」。すべては3月の世界選手権(カナダ・モントリオール)で勝つための決断だ。【木下淳】