男子テニスの世界王者ノバク・ジョコビッチ(32=セルビア)が主催したバルカン半島での慈善大会で、ジョコビッチを含む新型コロナウイルスの感染者が続出している問題で、他の選手や関係者からジョコビッチに批判の声が止まらない。

その筆頭は、最も才能あふれる選手と言われるキリオス(オーストラリア)だ。自身のSNSで「あまりにもばかげている。冗談では済まされない」と断罪した。キリオスは、一貫してツアーを再開することに反対の立場を示している。8月31日から無観客で開催を決定した全米にも「自分勝手」と批判していた。

ジョコビッチは、男子ツアーを運営統括するATP(プロテニス選手協会)の選手会長も務める。その分、責任は重い。しかし、そのATPのガウデンツィ会長でさえ、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに答え「大きな子供のような振る舞い」と、ジョコビッチをたしなめた。

今回の感染拡大で、日本選手にも動揺が広がる。日本NO・2で同48位の西岡良仁(24)は、自身のSNSで「この状況で本当にアメリカシーズン始まるの? アメリカに行く側としてはかなり不安」と投稿。ツアーが再開される米国に疑問を呈した。

ジョコビッチが主催した大会は、4000人の観客で超満員。社会的距離もマスクもなく、握手や抱き合うのも自由。大会前には選手らが半裸でパーティーに参加するなど、コロナ禍以前の状況と全く同じ方式で開催したため、誰もが感染者の早期回復を願っている半面、「自業自得」の厳しい意見も少なくない。