ラグビーのトップリーグ(TL)NTTドコモが、年明け開幕予定の新シーズンで「トップ8」を目指している。15日、大阪市内で全体練習を開始。その光景をじっと見つめていたのが、下沖正博ゼネラルマネジャー(GM)だった。

この春は大型補強でラグビー界を驚かせた。6月26日には昨秋のワールドカップ(W杯)日本大会で6トライを挙げ、南アフリカの優勝に貢献したWTBマカゾレ・マピンピ(29)の加入を発表。さらにウェールズ代表経験を持つSOオーウェン・ウィリアムス(28)の名もあった。新型コロナウイルスの影響で合流は先だが、チームの主軸になるのは間違いない。

なぜ、マピンピだったのか-。

その質問に下沖GMは「1人でもこじあけられる選手が欲しかった」と言い切った。「格が違う。人間的にも優れていて、今いる選手にもいい影響を与えてほしい」。期待は大きい。

新体制では南アフリカの年間最優秀コーチ賞を3度受賞したヨハン・アッカーマン・ヘッドコーチ(HC、50)が指揮を執る。かつて下沖GMが15~16年シーズン限りで監督を退任し、その際にも声をかけたのがアッカーマンHCだった。

当時はスーパーラグビーのライオンズ(南アフリカ)を率いており、日本行きは実現しなかった。下沖GMは「4年越しですね」とほほえみながら「どこからでも攻撃するラグビーをしたくて、HCが決まった。それに伴う選手を補強しました。(HCは)これまでのレガシーを大切にする人。『なぜ、ラグビーをするのか?』というところから入る人で、とても共感できる」。理想とするグラウンド全面を使った戦いに持ち込み、マピンピらの決定力を生かす青写真を描く。

20年シーズンは第4節で神戸製鋼に0-97と大敗。コロナ禍で第6節終了後にリーグ打ち切りとなったが、その時点で1勝5敗と苦しい戦いが続いていた。WTB茂野洸気(31)は「いい選手が入ってくる。日本人選手も負けられない気持ちになっている。チームとしてレベルアップしたい」。目標のトップ8へ、注目の再出発となる。【松本航】