京都成章は花園出場13度目で初の決勝に臨んだが、優勝はならなかった。

試合終了の瞬間、万歳で飛び上がる桐蔭学園(神奈川)フィフティーンを横に肩を落とした。

前半2分、敵陣10メートルライン付近からPGで先制に成功した。だが、同19分、逆転トライを許し同25分、PGを決められた。しかし、終了間際に追いつき、10-10で折り返した。

だが、後半は序盤から主導権を握られ、3連続トライなどで突き放された。それでも、終了間際の30分。敵陣22メートル中央のラックから右へ展開。最後はロック本橋拓馬(3年)が、右手を伸ばしてゴール右端に意地の1トライを決めた。

学校創立と同じ1986年(昭61)の創部。当時の京都は伏見工(現京都工学院)東山、花園がトップグループを形成。創部2年目に湯浅泰正監督(56)が就任した時、部員は約30人いたが、レベルの違いは歴然だった。「ハンドリング、スキルの差はどうにもならないから」(湯浅監督)と最初に着手したのが、タックル。練習時間の8割を充て、磨きをかけた。群がるように当たり、捕まえたら絶対離さない-。伝統の“ピラニアタックル”は今も最大の武器だ。

現チームは15人全員が立って戦う、現代ラグビーの基礎を徹底するため、指揮官が造語で「グラウンド・ゼロ」のスタイルを掲げた。またFW平均体重が今より約6キロも重い超大型FWを擁した昨年度、力勝負を前面に押し出し花園8強止まりに終わったことを反省。湯浅監督は「自分で考えて、決断しろ」と指示。部員が必要なスキル、戦術、ゲームメークを自分たちで進められるチーム作りに着手。今大会期間中は部員中心で約2時間半のミーティングを重ねるなど、歴代チームでもトップクラスの自主性を見せた。

W主将の宮尾、FB辻野や2年生SO大島、ハードタックラーの松沢、山田のCTBコンビ、トライゲッターのWTB中川、そして193センチの巨漢ロック“ジャイアン”本橋などキーマンは数多いが、リザーブもスターターに劣らない-。惜しくも準優勝に終わったが、登録選手30人全員で戦える集団を作り上げ、初の決勝まで進んできた。

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